パソコンを開いて驚いた顔をする男性写真はイメージです Photo:PIXTA

AIが進歩し、日々の業務のデータは簡単に履歴として残り、精査される時代になった。便利ではあるが、昔はなんとなく許された雑な経費処理は今後許されない時代になってきた。今起きている時代の変化を甘く見ていると、自らのステータスを大きく揺るがす事態になり得る。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

「このくらいなら」はすぐにやめるべき

 最初に、これは説教でも脅しでもない、長年コンプライアンスに従事してきた者からの率直なお願いである。

 内輪の飲み会を接待として処理すること、実際とは異なる経路で交通費を請求すること、飲み会の参加者の人数を少しだけ調整すること――こうした、いわゆる「小さい不正」は、すぐにやめてほしい。

 正直に言えば、これまでの日本企業ではこれらの行為は一定程度黙認されてきた側面があった。現場も管理職も、「このくらいなら問題にならないだろう」と目をつぶってきた。中には、それが組織を円滑に回すための潤滑油だ、という言い訳すら存在した。

 しかし、今年から、いや今日からは、とにかくやめてほしい。これは倫理統制ではないし、感情論でもない。環境が完全に変わってしまった、という話である。

 理由は極めて単純だ。皆さんの日々のアクティビティは、すでに多層的なデータとして残る時代に入っているからである。

 会計システムには支出の詳細が残り、経費精算システムには請求の履歴が残る。社内の決裁フローには、誰がどのような判断をしたかが記録され、メールやSlack、Teamsといったコミュニケーションツールには、やり取りの痕跡が蓄積される。さらに、入退館記録や移動履歴、業務ログなども、以前とは比べものにならない精度で残っている。

 これらは、もはやバラバラの情報ではない。会社がその気になって突き合わせれば、十分に分析可能な状態にある。行動と出費が合っていないケースや、他者と比べて明らかに異なる請求パターンを持つ人は、統計的に容易に浮かび上がる。