組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進写真はイメージです Photo:PIXTA

幹事長代理、支店長代理、部長代行……世の中には「代理」や「代行」といった肩書があふれている。しかし、実際、代理や代行がどういった責任を負っているのか明確に説明できる人は少ない。これらの役職・肩書の背景を考察すると、「不健康な社会」が見えてきた。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

法律の代理とは違う組織の役職の“代理”

 選挙特番を見ていた夜のことだ。

 ニュースキャスターが「○○党の幹事長代理が記者会見を行いました」と読み上げた瞬間、隣にいた親しくしている知人のご子息が、真顔でこう尋ねてきた。

「さっき別の番組で○○党の幹事長が話してたよね。なのに、なぜ代理がいるの?病気とかじゃないんなら代理してもらう必要ないよね」

 私は少し笑いながら答えた。

「さすが、法学部志望。いいところに気づいた。ただ、法律上の“代理”と、政治の人たちが使っている“代理”は意味が違うんだよ」

「違うってどういうこと?」

「まず、“代理”というのは民法で定義された法的概念だよね。民法99条第1項には『代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接その効力を生ずる』と書いてある。つまり、代理人が契約を結べば、その効果は本人に帰属する。代理人の行為=本人の行為、ということだね」

「うん。だから極論を言えば、“幹事長代理”がなにかを認めたら、それは“幹事長本人が認めた”、ってことになるんだよね」

「まあね、でもそれは法律の話で、政治の世界の“代理”は、法的代理じゃないんだよね。ほとんどの政党の“代理”は組織内のルールで、“職務上の補佐”という程度の意味で、その効果は法的には本人に帰属しない。だから“代理”という言葉を使うのは、法律的に考える人から見ると極めて不適切に見えちゃうんだけどね」