残って質問を個別で受け付けていたところ、最後にある保護者の方が近づいてきました。話を伺うと、息子さんはもう1年以上学校に行けていないため、対策をアドバイスしてほしいということでした。

 残念ながら、ネット依存、ゲーム依存にならないための方法はアドバイスできても、既になってしまった依存状態から抜け出すのは、その場のアドバイスだけでは正直難しくなります。時間をかけて直接やり取りをしたり、徐々にゲームの利用時間を減らしたりなどが必要となるためです。

 もう少し早く兆候が見られたくらいの時にお話しできていればと、大変残念に感じました。

 たとえば歯科では、虫歯になる前に予防する「予防歯科」が重視されるようになっています。その他の診療領域も早期発見が大切になるため、健康診断や人間ドック、ガン検診なども重視されており、一定の条件のもとであれば無料で受けることができたり、補助金が出たりするようになっています。

 どんな生活をすれば病気になりやすいかは分かっています。病気になってしまってから治すよりも、なりづらい生活を心がけた方が効果的ということも分かっています。早期発見して治療すれば、完治する可能性が高まります。これは、スマホ依存やネット依存、ゲーム依存など、すべてに共通することなのです。

学校に行けない、食事しない…
ゲーム依存の恐ろしさ

 最近は、講演にうかがう学校に最低数名は、ゲーム依存、または依存になりかけの生徒がいることがほとんどです。ある中学校には、わざわざ他県まで評判の高いネット依存外来に通っている不登校の生徒もいると聞きました。症状が重いため、はるばる通って治療しているということでした。

 別の学校では、ある生徒が朝までゲームをして寝ないで学校に来たものの、やはり眠くなって保健室で寝ているから講演には参加できないと聞きました。「ネット依存になりかけですよね。でもまだ学校に来られているだけましです」と、先生は言っていました。このように学校に来られてはいても、半分ネット依存、ゲーム依存状態になっている生徒は少なくないのです。

 取材を通して、もっと重いネット中毒患者の話も聞いています。ある中学生は、クラスメイトとトラブルになったことをきっかけに、学校を休みがちになってしまいました。進学校だったため、少し休むと勉強についていくのが難しくなってしまいました。