ソーシャルマーケティング事業と美容クーポンサイト「キレナビ」を中心に展開するトレンダーズ株式会社の代表・経沢香保子氏と、伝説の元外資トップ・新将命氏の話は、ダイバーシティマネジメントにおける女性の活用から、経営者としての心構えにシフトしていきます。
自分の子どもである会社をどうすれば長生きさせられるのか、長いビジネスマン人生に裏付けされた新氏の経営理論が光ります。
理念があるから乗り越えられる
トレンダーズ株式会社 代表取締役
1997年慶応義塾大学経済学部卒業、同年株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)に就職。楽天株式会社を経て、2000年トレンダーズ株式会社設立。美容クーポンサイト「キレナビ」など、女性に特化したソーシャルマーケティングの事業展開を行う。2012年東証マザーズに上場し、現在、最年少上場女性社長。
著書に『自分らしい人生を創るために大切なこと』『自分の会社をつくるということ』(ダイヤモンド社)など。
経沢 楽天を辞めたばかりのころに私に仕事をオーダーしてくださったお客様は男性が多く、女性で事業を語れる人が少なかったので重宝されました。女性のニーズを知りたいというのが大きかったと思います。
経営者の8~9割が男性で、女性の経営者はほとんどいないけれども、消費の中心は女性なので、売り手と買い手の意識には大きなギャップがあります。そのギャップを埋めるお手伝いをするということに私の価値、社会貢献の意味があると思ったんです。
新 「make a difference」ですね。
経沢 現在私たちトレンダーズが主にやっていることはソーシャルメディアマーケティングですが、仕事と美とパートナーシップといった女性のライフスタイルを向上させること。働くという選択肢を持てる女性を増やしていきたいという思いは常に変わりません。
新 経沢さんは理念がしっかりしていますね。マクロ統計ですと、男女問わずの数値ですが起業して3年以内に8割くらいの会社が消えています。残った2割の中の8割程度が、その後3年以内に消えていく。6年経つと1割以下、つまり4~5%くらいしか残らないんです。
どうして会社は潰れるのか。起業家が会社を潰す一番の理由は、マネーメイキングだけに必死になるからです。つまりお金儲けだけを考えている。
会社を創るときのパーパス(目的)は何なのか。どういうことをして世の中を良くすることに貢献するのか。つまり、理念が根底にある会社のほうが事実長生きしています。でも理念だけでは飯は食えない。理念と目標、そして戦略が一体になっていなければ会社は潰れてしまう。
経沢 おっしゃるとおりだと思います。これまであきらめそうになることもたくさんありましたが、自暴自棄になりそうなときに何のために仕事をしているのかを考えると、些細なことは乗り越えられるんですよね。