池田課長「そんな……AIに何が分かるんですか!もういいです。人事部で話を聞いてきますから!」
池田は冷ややかに佐藤を一瞥し、その場を後にした。
(いったい何が問題だと言うんだ……)
佐藤は、池田の態度に不満を感じつつも、心のどこかで引っかかる思いがあった。そこで、以前にもオンラインで相談したことのある、社労士のカタリーナに連絡を取ってみることにした。
AIは感情を挟まないから公平でしょう?
カタリーナ「こんにちは、カタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」
佐藤部長「あぁ、久しぶりです。人事評価に不満を持つ部下のことでちょっと…。わが社もいよいよ『AI人事評価システム』を導入しましてね」
カタリーナ「あらそう。最近、さまざまなシーンでAIを活用する企業が増えているわね」

佐藤部長「時代はすっかり変わりましたよ。部下の査定は、すべてAIがはじき出してくれるんですから。勤怠、売り上げ、チャットの返信速度、果ては会議中の表情までカメラが分析して、公平なスコアを出してくれます。本当に賢いですよ」
カタリーナ「すっかり『AI人事評価システム』に心酔しているようね」
佐藤部長「ええ。それなのに、部下の池田が『評価に納得できない、根拠を教えろ』と詰め寄ってきて……。AIが『C評価』だと言ってるんだから、それが正解でしょう?」
カタリーナ「ちょっと待って。『AIがそう言ってるから』なんていうのは、思考停止した人間が言うことよ。逃げ口上と言われても言い返せないわ。まさか、AIに評価を丸投げしたんじゃないでしょうね?」
佐藤部長「いや、それは……。私もここ最近、現場のトラブル対応で忙しくて。でも、AIは感情を挟まないから公平でしょう?」
カタリーナ「そんなことでは、『人事権の濫用』と言われても仕方ないわね」
佐藤部長「そんなオーバーな。私は会社が導入した評価システムを利用したに過ぎませんよ」







