世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。

世界が注目する寿司職人が惚れ込んで、移住! 「日本のベニス」と呼ばれる、知られざる田舎町とは?Photo: Adobe Stock

今、注目される富山県射水市の内川エリア

 富山県のほぼ中央の射水市に、内川エリアと呼ばれる場所があるのですが、そこは最近、「日本のベニス」と呼ばれています。

 まさか、富山にベニスが…と驚かれたかもしれませんが、決して遠からず。川沿いには歴史ある木造建築や蔵などが多く、ノスタルジックで情緒のある雰囲気を醸し出しています。

 内川エリアにかかる有名な橋のひとつ「東橋」は、スペインの建築家によって設計されました。日本でも珍しい屋根付き橋であり、木と鉄を組み合わせたデザインは、日本の伝統とヨーロッパ的感性の融合ともいわれています。これらが生み出す内川の風景は、まるで絵画のように美しく、一見の価値があります。

 そんな観光名所としてもポテンシャルが高い内川エリアが、実は今、食の分野で海外の富裕層の目を釘付けにしています。その最大の理由は、日本屈指の寿司職人が、このエリアに寿司オーベルジュをつくることが報道されたからです。

 その屈指の寿司職人というのは、橋場俊治さんです。彼は、一見さんお断りのためにミシュラン三つ星を外されたといわれる六本木の名店「鮨 さいとう」で長年2番手を務め、現在は麻布で「鮨 しゅんじ」を営んでいます。「鮨 しゅんじ」もまったく予約がとれないのですが、彼の奥さんが富山県出身で、たびたび訪れているうちに富山が気に入り、2026年初夏にオーベルジュが完成し、将来は移住する予定です。1階にカウンター6席、2階は宿泊用に3部屋を設け、国内外のフーディーを呼び込む考えだと聞いています。

 東京のトップクラス、いや、世界のトップクラスの寿司屋が内川エリアにやってくるということで、この一帯がすでにフライングで大いに盛り上がりを見せています。しかも、このあたりは評判のいい町寿司が多くあり、多くの観光客を満足させているのです(私は特に「清寿司」が安いうえに非常に味がいいので気に入っています)。

 そんなこともあり、本書のP68で紹介した「レヴォ」を訪れた富裕層たちが、ついでに寿司を堪能していく町として、内川エリアが選ばれるようになるかもしれません。

※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。