世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。
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食通の間で今、アツい! 進化するジビエ
ジビエ料理は今、食通たちの間でひそかなブームとなっています。
もともとはシカやイノシシ、クマといった野生動物の肉を使った、地方で受け継がれてきた素朴な料理でした。しかし近年では、こうした動物が害獣として駆除される一方、その命を無駄にしないというSDGs的な観点から、ジビエの活用が進んでいます。例えばイノシシカレーのように、身近な料理に落とし込むことで広がりを見せ、自治体が補助金を出してジビエを活用する取り組みも増えています。
ファインダイニングの世界でもジビエは注目の食材になっています。
きちんと処理されたシカ肉やクマ肉は驚くほど上品で、エレゾ(本書参照)のような処理のプロが関わることで、味わいは格段に高まります。
私が初めてクマ肉を食べたのは、滋賀県の「比良山荘」のクマ鍋でした。クマ肉の3分の2は脂なので、最初はギョッとしましたが、脂がゼラチンのようにとろける食感で、クマの美味しさに開眼する一皿でした。
また、かつてはフランス産のシカが最高とされていましたが、いまや新鮮な国産のエゾシカの方が美味しいという評価も珍しくありません。
ジビエは地方の魅力とも結びついています。かつて登山客向けの素朴な宿だった店が、都会では食べられない洗練されたジビエ料理を提供し、フーディーたちが訪れる名店へと変貌する例も。
岐阜の「柳家」や「かたつむり」「いろりの郷 奈かお」など、地方発のジビエ料理が再評価される動きが広がっています。
さらに最近では、アナグマやハクビシンなどの“未知の味”に挑戦するレストランも登場し、ジビエは単なる伝統食から、グルメの冒険へと変わりつつあります。流行というより、好奇心に火をつける新しい食の領域。それが今のジビエなのです。
※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。






