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主に北極で独自の活動を重ねてきた、探検家の角幡唯介氏。彼によれば、多くの冒険家・探検家が亡くなった年齢である「43歳」こそ人生の頂点なのだという。現在50歳(執筆時48歳)の角幡氏が、年齢と人生の充実度の関係を分析する。※本稿は、探検家の角幡唯介『43歳頂点論』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
探検家・角幡唯介が
「43歳」にこだわる理由
いつごろからか私は43歳というこの年齢に神話的な象徴性を見出し、人生の区切りとして意識するようになったのだが、著名な登山家、冒険家のなかに43歳で遭難死した人が少なからずいることが最初のきっかけではあった。
その名を列挙すると……、
植村直己(エベレスト日本人初登頂、北極点到達、1984年、アラスカ・デナリで行方不明)
長谷川恒男(ヨーロッパアルプス三大北壁冬季単独登攀、1991年、カラコルム・ウルタル2峰で死亡)
星野道夫(写真家、1996年、ロシア・カムチャツカ半島でヒグマに襲われ死亡)
河野兵市(北極点単独徒歩到達、2001年、北極海で海氷の割れ目に転落し死亡)
谷口けい(インド・カメット南東壁初登攀、女性としてはじめてピオレドール賞受賞、2015年、北海道大雪山で死亡)
の各氏である。
彼らがなぜ遭難したのか、私はその原因をそれぞれのケースごとに深く分析したわけでは、もちろんない。
常識で考えると、彼らがその年齢でこの世を去ったのは必然よりむしろ偶然の作用のほうが大きいはずだし、言うまでもなく43歳で死なない登山家、冒険家のほうが数としては断然多い。だから彼らの遭難をもってして、ことさら43歳だけをとりあげるのはナンセンスにも思える。







