
日本で言うところの「銀シャリ」は、銀のように輝く炊きたての米を指す。いわゆる“おいしいご飯”を表す言葉だが、旅行作家の石田ゆうすけ氏は遠くペルーの地で、比喩ではなく“銀色のご飯”を食べていた時期があるという。自転車で世界一周を果たした石田氏による驚きのペルー体験記を紹介する。※本稿は、石田ゆうすけ『世界の果てまで行って喰う 地球三周の自転車旅』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
砂漠・拳銃・強盗
自転車旅で最悪の恐怖
自転車の旅で最も恐れていたことがペルーで起こった。
無人の砂漠地帯で強盗に待ち伏せされ、襲われたのだ。相手は3人だった。拳銃を腹に押し当てられ、すぐに無抵抗の意を示したのにボコボコに殴られ蹴られ、目隠し、さるぐつわ、あげく荷物をすべて奪われ、残ったのは荷物が外されて丸裸になった自転車だけだった。
現金は顔が引きつるぐらいの額を盗られた一方、カードは不正使用される前に電話をかけて無効にしたので、口座内のお金は守られた。
約一週間後、新しいカードを受け取ると、すぐにATMに行ってお金を引き出し、なんとか生活できるようになった。