「帝国主義時代の外交の本質をよく理解している」高市首相の“トランプ大統領への対応”を高く評価する理由【佐藤優】2026年1月11日、米フロリダ州からホワイトハウスへ戻る途中、エアフォースワンで記者団からの質問に答えるドナルド・トランプ米大統領 Photo:AFP=JIJI

米トランプ政権は、ベネズエラの首都カラカスなどを爆撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束して米ニューヨークへ連行しました。国際法について、独自の考えを持っているトランプ氏。この件に対する日本政府の反応は、非常に良い対応だと佐藤氏は言います。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)

マドゥロ大統領夫妻の拘束
米国の周到な準備

 米トランプ政権は1月2日深夜から3日早朝にかけてベネズエラの首都カラカスなどを爆撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束して米ニューヨークへ連行しました。2020年に米国がマドゥロ氏を、麻薬テロ共謀、コカイン密輸共謀、機関銃と破壊兵器の所持、およびその所持共謀の容疑で起訴していたことが根拠になっています。

 急襲作戦のケイン統合参謀本部議長の説明に、興味深い部分があります。

〈作戦についてケイン氏は「数カ月にわたる計画と訓練の集大成だ」と説明。「マドゥロの居場所を特定し、行動パターンや居住地、移動経路、食事、服装、ペットまでを把握していた」と、周到な準備について語った。部隊は昨年12月初旬から臨戦態勢に入り、実行の条件が整うのを待っていたという〉(1月4日「朝日新聞」デジタル版)

 ターゲットの居場所を特定するばかりか、食事や服装、ペットまで把握する事前準備は、ヒュミント(人間によるインテリジェンス、いわゆるスパイ活動)によるものです。マドゥロ氏の側近や使用人に協力者を獲得しなければ、このようなインテリジェンス活動はできません。ベネズエラの秘密警察の幹部にも協力者がいなくては、このような工作は成功しません。マドゥロ政権の上層部にまで米国の浸透工作が行われていたことが、成果を上げた理由と私はみています。