2026年1月6日、米ワシントンで演説を行うドナルド・トランプ米大統領 Photo:Alex Wong/gettyimages
最前線で働くビジネスパーソンが押さえておきたい、時代の変化とその背景を理解する上で欠かせない注目書籍を作家で元外交官の佐藤優さんが厳選する。ベネズエラを攻撃した米国に起きている変化とは?『永田鉄山の総力戦』『人類と文明の変容』『教養としての量子コンピュータ』の3冊から「ここだけは読んでほしい重要な箇所」を抜粋して紹介する。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)
「国民と国家を守るための戦争」が
「戦争のための国家」に変貌させる
1月初めに起きた米国のベネズエラ攻撃は世界を震撼させた。国際社会のゲームのルールが、大国間がしのぎを削る新帝国主義に転換しつつある。
川田 稔著『永田鉄山の総力戦』文春新書、2025年10月刊行
まさに今、戦前、日本で総力戦体制構築の設計図を描いた一人である永田鉄山の事例を批判的に検討する必要がある。そのためのよい道しるべとなるのが川田稔著『永田鉄山の総力戦』だ。
〈永田鉄山による国家総力戦体制論(国家総動員論)に示されるのは、ジレンマに満ちた国家像である。ひとたび総力戦が開始されると、国家の存続、国民の安全のためには、その国の軍事、経済、政治、社会生活、文化などのすべてを動員して戦わなければならない。これが「総力戦」の出発点のはずである。ところが、総力戦を前提とすると、「国民と国家を守るための戦争」であるはずのものが、「戦争のための国家」へと反転してしまう。それは、「国家総力戦」自体がもつ不条理の反映でもあった。国家の全てを賭けて戦わなければ生き残れない、という過酷な現実にいかに対応するか、という難問が、永田のテーマだった〉(8ページ)
国家と国民を防衛するための戦争によって、「戦争のための国家」に変貌してしまったのが現在のロシア、ウクライナ、イスラエルだ。米国もその仲間に入ろうとしている。戦争ではなく、外交で勢力均衡を維持するのが日本の取るべき道と思う。







