それを自分事として考え始めると、徐々に『面接の達人』で書かれている「自己紹介」と「志望動機」がつながり始まります。つまり自分がこれまで培ってきた経験や専門性のどの部分がウリになって、人生の後半でやりたい仕事とどうリンクさせることができるかを言葉で説明するのです。

 究極の話をすると、黒字リストラを手掛ける会社が構造改革を目的としているように、そのような会社に在籍していて早期退職に応募する側も、自分の人生の構造改革を企てているのです。

 ですから、冒頭に書いたように「黒字リストラに応募すべき人はどのような人なのか?」という問いに対しては「企てが準備できている人」こそが重要なのではないかと私は考えるわけです。

「若者より中高年が欲しい」
AIで逆転する採用基準

 50代の読者の方のために、ひとついいデータがあるので紹介します。ハーバード大卒芸人のパックンがテレビで紹介してくれた数字です。アメリカでは人工知能の時代を迎えた結果、25歳以下の若者の新規採用機会が45%も減少しているそうです。一方で65歳以上の採用は80%も増えています。

 これは生成AI出現直後から言われていたことです。AIを大企業が武器にするようになると、未経験者の価値が大きく下がります。一方で重宝されるのが経験者、なぜなら経験者に武器としてAIを与えるとAIの活用効果が大きいからです。

 いずれこの考え方は日本の大企業にも浸透するでしょう。結果として中高年の就活環境は激変することが予想されます。

「AIを与えておけば即戦力になる中高年の方が、いつ辞めるかわからない若手よりも優先して確保すべき戦力だ」と言われる時代が、もうすぐそこまで来ているかもしれないのです。

 ただそれは残念ながら5年後のことかもしれず、その意味では今、黒字リストラに直面している50代には少し気が早い話かもしれません。「時代はこれから変わる」ということだけ頭の片隅に置いていただければと思います。

 さて、現実論ということで言えば、リストラに応募するということは自分の人生を変える話です。ですからこのアスピレーションという要素は、あくまで第三条件でいいのかもしれません。