面白い話は考えようとしなくても、身の回りに転がっています。そして、面白いと思えれば記憶に残り、新ネタとして脳に上書きされていきます。新ネタを見つけられたら良いなという気持ちを持ちつつ頭を働かせ、「すべるかも話」をどんどん試していきましょう。

日常の勘違いや失敗は
新ネタ披露のチャンス

 寄席でとても面白い「マクラ(枕)」を聞いたことがあります。マクラとは、本題に入る前の小話のこと。その日の演目の布石になるような話題や、今まさに世間が注目しているであろう時事ネタなどを盛り込み、観客の気持ちをほぐし落語の世界へいざないます。マクラの反応を見てその場で演目を決める噺家も多いと聞きます。

 そのマクラとは、「鳩に100円玉を投げ付けている人がいた」という話でした。投げ付けている人に何をしているのかと尋ねると、「鳩のエサ100円と書いてあるでしょう」と答えたそうです。見れば確かに「鳩のエサ100円」と貼り紙がある。字面だけ読めば「鳩のエサが100円玉」と読めなくもないけど、いやそれは違うよね、変だよね、と。

 このマクラでは、カン違いによっておかしみが生まれていることに噺家さんが気づいたことで、高座での笑いに転換されました。

 笑いというのは、まず、これはこうあるべきという思い込みのようなものがあって、そこから何かしらの理由やたまたまの偶然が生じて、本来のあるべき姿からズレてしまったときに生まれます。

 日常の中でそのズレに気づけると、頭がどんどん柔らかくなります。私たちの日常で起こるズレとは何かというと、「失敗談」です。

 誰でもちょっとした失敗を毎日しているはずです。実際に私も、落語のマクラのように、講演会やセミナーの冒頭で失敗談をよく披露しています。

 期限までに使わなければと、地域振興券を持って買い物に出かけたら、端数は現金かカードで支払う必要があるのに、地域振興券しか持っていないので、結局お財布を取りに帰った。保育園の息子に持たせた着替えの下着が、着替えずにそのまま戻ってきて不思議に思ったら、色と大きさと生地が似ている夫の下着だった。お恥ずかしながら、このような話は枚挙にいとまがありません。