【解説】「株主優待」という名の株価の支柱が折れるとき
なぜ、優待改悪のニュースが出た翌日、問答無用で売るべきなのでしょうか? それは、優待株特有の「株価形成の歪み」に理由があります。
多くの優待銘柄は、業績そのものの評価よりも、「優待の利回り」が魅力的だから買われているという側面があります。つまり、実力以上に株価が下支えされている状態(株主優待というゲタを履いている状態)なのです。
その支柱が外された瞬間、株価は本来の実力(あるいはそれ以下)まで一気に修正されます。需給バランスが崩壊し、ナイアガラの滝のように暴落することが珍しくありません。「まだ少しは優待が残っているから」と悠長に構えている間に、含み損が雪だるま式に膨らんでしまうリスクが極めて高いのです。
経営陣からの「無言のメッセージ」を読み解く
また、「企業のDNA」という視点は、投資家にとって非常に鋭い警告です。株主優待の改悪は、単なる経費削減ではありません。「苦しい時は、真っ先に株主への還元を削ります」という、経営陣の優先順位の露呈でもあります。
一度この姿勢を見せた企業は、今後、業績が悪化するたびに、配当の減額や優待の完全廃止を行うハードルが極端に低くなります。市場からの信頼(クレジット)を一度失った企業が、再び評価を取り戻すには長い年月がかかります。
約束をしっかりと守る誠実な企業へ資金を移すほうが、精神衛生上も資産効率上もはるかに健全です。
「損切り」は失敗ではなく、未来への投資
「成行で売る」という決断は、痛みをともなうものです。場合によっては損失が確定するかもしれません。しかし、それは決して「投資の失敗」ではなく、大切な資金を「死に金」にしないための「英断」です。
負のスパイラルに陥った銘柄に執着するより、潔く手放して、次の成長株や高配当株に種銭をまく。「切り替えの早さ」こそが、長く市場で生き残り、資産を築き上げる投資家に共通する資質なのです。
※本稿は、『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。







