【解説】株価上昇のエンジンは「複利」にあり

なぜ、バフェット氏はこれほどまでにROEを愛したのでしょうか? その答えは「複利の力」にあります。

ROEが高い企業は、稼いだ利益を再び事業に投資し、さらに大きな利益を生み出すサイクルを高速で回すことができます。たとえば、ROE20%の企業が、その利益をすべて再投資に回せば、理論上は会社の資産規模が数年で倍増します。

銀行預金の金利が「お金の増えるスピード」を表すように、ROEは「企業の成長スピード」そのものを表しているのです。長期投資において、このスピードの差は、数年後に決定的な株価の差となって現れます。

「見せかけの高ROE」という落とし穴

ただし、数字だけを見て飛びつくのは危険です。ここにROEの罠があります。

計算式(利益 ÷ 自己資本)を思い出してください。分母の「自己資本」を減らせば、計算上、ROEは跳ね上がります。つまり、借金(負債)を大量に抱えて自己資本が極端に少ない会社も、見かけ上のROEは高くなってしまうのです。

これを「財務レバレッジ」と呼びますが、借金まみれの高ROE企業は、金利上昇や不況の波が来ると一気に行き詰まるリスクがあります。「借金をして無理やり数値を上げているのか」、それとも「稼ぐ力が強くて数値が高いのか」。この違いを見抜くためには、ROEと合わせて「自己資本比率(財務の安全性)」もチェックする癖をつけることが大切です。

日本株変革のキーワード「8%」

日本市場では現在、「ROE8%」がひとつの最低ライン(日本企業のROEの重要性を説いた「伊藤レポート」等の提言)として意識されています。

東証の改革により、ROEが低迷している企業は「資本を有効活用せよ」と強いプレッシャーを受けています。これまで5%程度だった万年割安株が、経営改革によって8%、10%を目指すと宣言した時、そこには大きな株価上昇のチャンスが生まります。

「現在の高ROE企業」を探すだけでなく、「これから高ROEに変わろうとしている企業」を見つけることも、個人投資家の大きな楽しみの一つと言えるでしょう。

※本稿は『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。