加奈子さんは頷き、明彦さんも何度も頷いています。
「ご自身と同じ思いをさせたくないというのは大切な気持ちだと思います。ですが、過干渉は子どもの成長を妨げる面もあるんです。自発性の乏しい大人になってしまったり。社会に出た後に、自分で判断する事が苦手で挫折したり」
私がそう言うと、やっぱり、と明彦さんが言います。
「子どもというのは、親から言われた事だけでなく、子ども同士の関係の中から学ぶ事もたくさんあります。自分だけ宿題を忘れて恥ずかしい思いをしたとか。あとは自分自身が困って、そこから学ぶ事も多いんです。忘れ物をして、授業の課題に取り組めなくて困った、だから次から忘れ物をしないようにしようと考える、とか」
加奈子さんは真剣なまなざしで話を聞いています。
「自分の事は自分でやらせる、子どもに任せるというのは、子どもを信頼するという事です。私たちの子どもなんだから大丈夫という気持ちを持って、見守ってあげてはどうでしょうか」
「私の子だから、心配なんですけど……」
加奈子さんがそう言うので、私は言いました。
「明彦さんのお子さんでもありますよね」
まずは、自分のことが出来たら
きちんと誉めてあげるところから
明彦さんが加奈子さんに言います。
「俺はそう思ってるよ。『俺の子なんだから大丈夫だろう』って。もちろん、必要なアドバイスはするし、浩二が求めてくれば手助けもする。中学受験もそういう選択肢もある事は教えようと思っている。浩二がやると言うならサポートもする。でも、浩二自身が決める事だ」
加奈子さんがため息をつきました。
「そう、ですよね。夫の子どもだから大丈夫、となら、思えそうな気がします」
「加奈子さんだって苦労しながら自立されたじゃないですか。立派ですよ」
私がそう言うと、そうでしょうか、と加奈子さんが言います。
「まずは朝の準備からでどうでしょうか。ちゃんとお2人から息子さんに『もう自分で出来る歳だから、自分でやるようにしよう』と伝えて。そして明彦さんから、『うまく行かない時に、お母さんのせいにしちゃだめだぞ』と伝えてあげて下さい」







