一度切りの人生で「お金」をどう使えばいいか? その問いに答えを与えてくれる世界的ベストセラー『アート・オブ・スペンディングマネー』が話題だ。人生は、お金の「額」ではなく、お金の「使い方」で決まる。もしあなたが「もっと稼がなければ」「もっといい暮らしをしなければ」と、どこかで焦り続けているなら、この言葉は単なるきれいごとではなく、かなり実用的な真実になる。「収入」より大切な「お金の使い方」とは何か。今回は、本書の内容を紹介しながら、そのポイントを紐解いていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
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「際限のない課金ゲーム」から抜け出そう
私たちは、誰かが持っているものを欲しがる。高級時計、広い家、ブランドバッグ、外車、タワマンの眺望。SNSで流れてくるそれらを見て「いいな」と思うのは自然なことだ。問題は、その欲望がどこまでいっても終わらないことにある。
『アート・オブ・スペンディングマネー』は、こう指摘する。
比較の相手は、常に上にいる。あなたが憧れている「その誰か」も、別の誰かに憧れている。つまり、上を見上げ続ける限り、満足は一生やってこない。
そしてこの連鎖の中でお金を使うと、人生はどんどん苦しくなる。なぜなら、そこにあるのは「自分のための消費」ではなく、「他人に勝つための消費」だからだ。
さらに本書は、こう続ける。
地位と嫉妬のゲームには終わりがない。トレンドは変わる。評価軸も変わる。昨日まで正解だったものが、明日にはダサいとされる。勝ったと思った瞬間に次のステージが現れ、もっと強い相手が現れる。これは、際限のない課金ゲームに似ている。
そして厄介なのは、このゲームに参加している限り、あなたの頭の中が常に「他人の視線」で埋まることだ。
「自分はどう見られているか」「負けていないか」「もっと上に行かなければ」。そうして心が落ち着かなくなり、手に入れたものの価値さえ味わえなくなる。
「収入」<「使い方」
では、どうすればいいのか。
勝つ方法はひとつしかない。ゲームそのものをやめることだ。
他人の人生を基準にしてお金を使うのをやめ、自分の人生を基準にしてお金を使う。快適さ、健康、学び、人間関係、時間、安心。そうしたものに投資する。すると、お金は「他人に勝つための武器」ではなく、「自分の人生をよくする道具」になる。
お金そのものが、あなたを幸せにするわけではない。それをどう使うかが、あなたの幸福度を大きく左右するのだ。
(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)





