「老眼になったら、とりあえず老眼鏡」――そう考えていませんか。実はその当たり前の選択が、知らないうちに情報量を減らし、脳の働きまで鈍らせてしまう可能性があります。毎日の“かけ外し”が、あなたを情報弱者にしてしまうとしたら……。話題の書籍『100歳アイ』(伊勢屋貴史著)から、見落とされがちな老眼の落とし穴を解説します。
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老眼鏡を使うと脳の情報量が減る?
目の老化は誰にでも起きます。年齢とともに近くのものが見えにくくなり、「老眼だ」と自覚したときに多くの人がやってしまうのが「老眼鏡を買いに行く」こと。
でもこれ、現代においてはおすすめできないどころか、間違った行動とさえいえます。いま老眼鏡を使っている方はすみません。でも、事実なんです。
ここで言う「老眼鏡」とは、近くを見ることに特化した眼鏡です。眼鏡店だけでなく量販店や100均ショップなどでも簡単に手に入りますが、老眼鏡は「単焦点レンズ」といって、決まった距離にしか焦点が合いません。手元を見るのには役立ちますが、かけたままだと中間距離から遠くのものははっきり見ることができないのが老眼鏡の特徴です。
スマホを見るために老眼鏡をかけ、テレビを見るために外し、新聞を読むためにかけ、パートナーと会話するために外し、本を読むためにかけ、壁の時計を見るために外し、手帳を確認するためにかけ、トイレに行くために外し……。老眼鏡を使っている限り、このようにかけたり外したりを一日何百回も、毎日毎日繰り返すことになります。さらに、普段近視の眼鏡をかけている人なら「近視の眼鏡を外して老眼鏡をかける」「老眼鏡を外して近視の眼鏡をかける」ことが必要になります。
しかもこれは、必要なときに毎回きちんと老眼鏡が見つかる前提です。実際には、外したときにどこかに置いてきてしまったり、しまったはずの場所になかったり、額の上にかけたのをすっかり忘れて周囲を探してしまったり……。必要なときに限って見つからない、というのも「老眼鏡あるある」です。
老眼鏡が抱える最大の問題
外出時はさらに大変です。街で買い物をしていて、ちょっと気になった商品を見つけたとき。パッケージに書いてある説明を読むためには、わざわざバッグから老眼鏡を取り出す必要があります。友人との会話でちょっと気になるキーワードが出てきたとき。スマホで検索しようとしてもやはり老眼鏡を取り出さなくてはいけません。運転中、信号待ちでLINEの着信があることに気づいたら? 老眼鏡を取り出そうとしているうちに、信号は青になってしまうでしょう。
いま実際に老眼鏡を使っている人にとっては、どれも「あるある」と感じるシチュエーションではないでしょうか。まだ使ったことがない人も、読んでいるだけで「面倒だな」と思いますよね。
そう、面倒なんです。これこそが、老眼鏡が抱える最大の問題です。
面倒だから、必要なときもいちいち老眼鏡をかけなくなってしまう。その結果、パッケージを読まなくては中身がわからない新商品ではなく、いつもの商品を買いがちになります。以前なら必ず検索していた気になったキーワードも、そのまま放置することに。大事なことが書かれているかもしれないLINEのメッセージも、つい読むのを後回しにしてしまいます。これでは新しい情報が入ってこず、世の中からどんどん取り残されてしまいますよね。
人は、情報の83%を視覚から得ているといわれています。スマホや本、新聞、雑誌、書類、商品のパッケージ、店頭の商品説明。老眼鏡をかける面倒さに負けて、様々な情報を脳にインプットしなくなったら……。
重要な情報を自分だけが知らず損をしたり、社会的に弱い立場になったり、最悪の場合詐欺などの被害に遭って財産を失ったり。とても嫌な言葉ですが、「情報弱者」になってしまいかねません。
では、どうすればいいのか。解決策は年々進化を続ける文明の利器、「累進レンズ」の眼鏡を使うことです。「累進レンズ」の眼鏡については、この連載で詳しく述べていきます。






