「保健所では元々、30代、40代、50代の方のご相談が多い。みんな、親亡き後を心配しています。高齢者の支援センターの方が訪問に行って、実はいちばん奥の部屋に、引きこもっている方がいらっしゃるようだという話が出てきたりするのです」(同課長事務取扱・向山晴子医師)

 親側は、暴力や変化などを恐れ、あまり刺激を与えてほしくないという意向が強い。

 一方の本人たちは、ネットではつながっていくものの、そのまま安定していく傾向がある。

「もう少し早い段階で、支援体制が組めると、20年、30年と引きこもらなくても済むのではないかという思いもあります。いろいろな分野の相談支援機関と情報交換しながら、相談が上がってきたときに、1つのところだけで抱え込まないで、お互いに共有し合って組み立てることができればと思って走り出したような状況です」(同課係長・河西あかね保健師)

 とはいえ、一般の就労はハードルが高く、たとえ就労できたとしても長続きしなくて、再びつまずいてしまう人たちも少なくない。

 そこで保健対策課が、この調査報告書を持って産業関係のセクションに出向いて、商工会議所などにつないでもらうようなネットワークづくりを模索している。

 これまでの「うちは若年者支援だから…」といった役所の縦割りの弊害を越えた取り組みだ。もちろん、お手本もないという。

 高年齢化していく引きこもりの人たちや、それを支える家族のために、行政として、地域でどんな支援ができるのか。

 従来の保健所のイメージとは違う、5ヵ年計画の2年目に入ったばかりの「町田市保健所方式」の前例のない取り組みに、これから注目が集まりそうだ。

この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)