トランプ大統領の「ドンロー主義」で高まる“バルト3国の危機”フランスに起きている変化とは?【池上彰・増田ユリヤ】増田ユリヤ氏が2025年12月にフランスで15歳から23歳の若者に取材したときの様子。26年夏に新たに導入される志願制の兵役制度について聞いた 写真提供:増田ユリヤ

国際社会の大きなリスク
トランプ大統領の「ドンロー主義」

増田 トランプ米大統領の「ドンロー主義」が猛威を振るっています。イアン・ブレマー氏率いるユーラシア・グループが毎年公表する「十大リスク」でも、ドンロー主義が国際社会の大きなリスクになると指摘されています。

池上 ドンロー主義とは、トランプ氏とモンロー主義を掛け合わせた言葉です。モンロー主義とは、19世紀のモンロー米大統領が取った方針で、米国は自国の利益のために南米などには介入するが、欧州の戦争などには関わらないとするものです。

 ドンロー主義はより露骨で、欧州だけでなく国際秩序の維持には関心を示さない一方、南米を含む西半球は米国の勢力圏として確立し、軍事介入も辞さないという姿勢を示しています。

増田 2026年になるや否や、国際情勢は大きく揺れ動いていますが、まずトランプ氏はベネズエラのマドゥロ大統領を拘束しました。大量の違法麻薬がベネズエラから米国に流入しているのを看過していたというのが理由です。

マドゥロ大統領拘束に
FBIが同行した理由

池上 トランプ氏の建前としては、米国国内で麻薬テロに共謀しているなどの理由で起訴されているマドゥロ氏を拘束するのはあくまでも司法の実行です。そのため拘束時には米軍の特殊部隊デルタフォースだけでなく、FBI(米連邦捜査局)も同行しています。

増田 実際には麻薬はコロンビアで製造されたものがベネズエラ経由で運ばれていただけなのではないか、との指摘もありますね。