そこでここでは、学校で使う言語をできるだけ早期に習得することが、就学後、バイリンガル児の学習言語の発達を促進することにつながるのかどうか、見てみたいと思います。

母語を疎かにしていては
第二言語は身につかない

 英語を第二言語として習得したスペイン語母語話者(成人)を対象にした研究があります(※1)。英語とスペイン語には、学習言語の習得レベルを測定する検査(※2)があるので、それを用いて調査を行っています。

(※1)Austin,Hernandez and Schwieter,2019(※2)Woodcock-Munoz Language Survey Normative Update WMLS-NU;Woodcock&Munoz-Sandoval,2001

 質問紙調査で、英語の習得が開始された時期、英語で教育を受けた期間、スペイン語で教育を受けた期間、過去5年間で英語とスペイン語を使用した割合など、参加者の背景について情報を収集し、英語とスペイン語の学習言語を予測する要素になり得るのは何なのかを調べています。

 分析の結果、英語で教育を受けた期間が長いほど、英語の学習言語の習得レベルは高くなる傾向が見られました。これは、多くの人が期待した通りの結果ではないでしょうか。

 ネイティブスピーカー並みの英語力を身につけるためには、17歳までの臨界期(編集部注/文法の学習は17歳まで順調に進み、そのあと急激に効率が下がる)を見越して、遅くとも10歳より前に英語学習を開始したほうが良いという提案にもつながります。

 ただしこの研究では、英語学習の期間が長いこと以上に、英語の学習言語の習得レベルをはっきりと予測する要因が見つかったのです。

 それは、第一言語であるスペイン語の学習言語の習得レベルです。スペイン語の学習言語の習得レベルが高い人ほど、英語の学習言語の習得レベルも高くなるという非常に強い関係が示されたのです。

 参加者のスペイン語における学習言語の習得レベルの高さは、スペイン語で教育を受けた期間が長ければ長いほど高いという結果が出ており、第一言語で教育を受けることの重要性も示されたことになります。

学習開始時期と習得度に
強い因果関係はない

 上記の調査では、第二言語である英語で学校教育を受ける年月が長ければ長いほど、英語の学習言語の習得レベルが上がる傾向が示されました。