そうなると、第二言語でできるだけ早くから教育を受けるようにすれば、学習言語の習得レベルもその分高くなるのではないかという期待が生まれても不思議はないでしょう。

 しかし興味深いことに、この調査では、第二言語での教育を早く始めたからといって、必ずしも学習言語の習得レベルが高くなるというわけではないことが報告されています。

 この点も、文法獲得の臨界期の研究結果と重なります。2歳で英語教育を始めても、8歳で始めても、文法の到達レベルは変わらなかったという結果です。単に第二言語の教育開始時期を早くしただけでは、子どもが学習言語を習得できる保障はないということになります。

 むしろ、そのことで第一言語の獲得を遅らせるようなことになると、第一言語の学習言語がうまく習得できないことになりかねないので、注意が必要です。

 第一言語の学習言語を高いレベルで習得できると、それが第二言語の学習言語の習得を促進する可能性が高いことは先に述べた通りです。第一言語の獲得を脅かすような早期の第二言語教育は、両言語の学習言語の発達を阻む要因になる可能性があることを覚えておきたいと思います。

 たとえば日本語を第一言語とする日本人の子どもが、第二言語として英語を習得する場合、英語の学習言語を高いレベルまで習得するためには何が重要になるのでしょう。

 家庭では日本語を使っている一方で、幼稚園から小学校、中学校、高校まで、ずっと英語で教育を受ける子どもであれば、英語の学習言語の習得レベルは比較的高くなる可能性はあると思います。

 しかし、乳幼児期に英語を始めても、英語で教育を受ける機会がない、あるいは機会はあっても期間が短い場合には、英語の学習言語の習得は難しいということが推測できます。

 日本人が英語の学習言語を身につけるためには、第一言語である日本語で高いレベルの学習言語をまず身につけることが、一番の近道になると言えるのではないでしょうか。