日本語を勉強することが
英語力を伸ばすことにつながる
上記の調査にはもう少し続きがあります。学習言語以外の言語の側面についても、早期バイリンガル教育の影響について触れているのです。たとえば学習言語の習得に加えて、スペイン語と英語のアクセント、そしてスペイン語と英語の文法能力の習得についても調べています。
調査の結果、英語のアクセントについては、早くから英語の習得を始め、英語で教育を受けた時間が長い人ほど、ネイティブスピーカーに近い特徴を持つことがわかりました。つまり第二言語の発音は、早く学習を始めたほうがネイティブスピーカーに近いレベルに到達しやすいということがこの調査でも確認されたのです。
興味深いのは文法能力に関する調査結果です。英語には過去形を表すのに動詞の原形に-dや-edをつける「定型過去形」と、たとえばgo/went/goneのように、過去形と過去分詞の形が現在形と異なる「非定型過去形」があります。
英語の母語話者は、定型過去形をまず獲得し、非定型過去形はしばらく後になって獲得することが知られています。我々が英語を学習する際も、非定型過去形は定型過去形に比べて学習が難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。
この調査によると、スペイン語母語話者の英語の定型過去形の習得レベルは、早くから英語の習得を始めた人ほど高くなっていました。その一方で、おもしろいことに、非定型過去形については、早く始めたからと言って習得レベルが高くなるというわけではなかったのです。
代わりに、英語の非定型過去形の習得レベルを高めた要素として浮かび上がってきたのは、英語の学習言語の習得レベルの高さでした。先に紹介したように、英語の学習言語の習得は、スペイン語の学習言語の習得によって促進されることがわかっています。
このことをふまえると、スペイン語の学習言語を確実に習得することによって英語の学習言語の習得が促進されれば、複雑な英語の文法を習得する可能性も高まることになるでしょう。日本語母語話者の場合も、日本語の学習言語を確実に習得することが英語の学習言語の習得につながり、英語の文法の力を高めることにつながると推測できるのではないでしょうか。







