働くことがお金以上に私たちにもたらしているもの写真はイメージです Photo:PIXTA

十分すぎるほどの財産を手にしても、働き続ける人がいる。ビル・ゲイツは慈善事業に力を注ぎ、ウォーレン・バフェットは投資と寄付をやめず、マーク・ザッカーバーグも社会への還元を掲げて活動を続けている。生活のためでも、義務感でもないのに、なぜ彼らは仕事から離れないのか。作家・浅生鴨はこの素朴な疑問を手がかりに、働くことがお金以上に私たちにもたらしているものを掘り下げていく。※本稿は、作家、広告プランナーの浅生 鴨『選ばない仕事選び』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。文

十分にお金を持っていても
なぜ人は働き続けるのか

 僕はとにかく働きたくない。仕事なんてしたくないのである。毎日ゴロゴロして暮らしたいのである。何もしないでのんびり過ごしていたいのだ。君だって僕のこの気持ちは分かるはずだ。

 でも、もしも君がそう言ったら、周りの大人たちはどんな反応をするだろうか。「誰だって働いている」「働かなきゃ生きていけない」なんてことを言うに違いない。

 そして「働くのが当たり前なのだから、将来どんな仕事をしたいかを早く決めなさい」とプレッシャーを掛けてくるだろう。

 でも、君はもう知っている。働かなくても生きている人はちゃんといるのだ。

 たっぷりと「不労所得」が入って、生活の心配をする必要がない人たち。家も車もあって、旅行も贅沢も好きなときにできる、そんな大富豪たちだ。

 けれども、そんな世界の大金持ちの中にも、毎日のように仕事場へ出かけ、誰かと会議をして、ときには夜遅くまで仕事場に残って働く人がいるのだからわけが分からない。

 もう一生暮らせるくらいのお金は稼いでいるのだから、働かなくても十分に生きていけるじゃないか。食べるものにも住む場所にも困らないじゃないか。