◆なぜ「真面目な人」ほど、突然メンタルが崩壊するのか?
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が教える】心が折れやすい人が、無意識に抱えている「3つの期待」とは?Photo: Adobe Stock

心がボロボロになるメンタル崩壊の罠

本日は「心がボロボロになるメンタル崩壊の罠」というテーマでお話しします。実は、真面目な人や一生懸命な頑張り屋さんに限って、心がボロボロになりやすいという現実があります。

診察室で患者さんと向き合っていると、さまざまなことが重なって涙を流し、疲れ果てている方に多くお会いします。傍から見れば、何事も一生懸命で、すべてが順調にいっているように見える人たちです。しかし、ご本人の内側は決してそうではありません。

なぜ、努力家の人ほどメンタルが崩壊してしまうのか? その正体は、心の中に潜む「期待」にあります。

「武器としての期待」と「無言の期待」の違い

まず、「期待」という言葉の使われ方には2つのパターンがあることを理解してください。

1つは、言葉に出して「あなたに期待しているから」と言う人のパターンです。これは実は、期待を「相手をコントロールするための武器」として使っています。相手が期待通りに動かなかったときに「期待していたのに」と責めることで、相手を支配しようとするのです。こういった発言をする人は、意外と自分自身が傷つくことはありません。

一方で、頑張り屋さんの心を蝕むのは、もう1つの「無言の期待」です。これは誰かに宣言するものではなく、自分の心の中で無意識に抱いてしまうものです。この無自覚な期待こそが、刃となって自分自身の心を傷つけてしまうのです。

心をボロボロにする「3つの期待」

頑張り屋さんが無意識に抱えてしまう期待には、大きく分けて3つの種類があります。

1. 物事の成り行きに対する期待
「これだけ頑張ったのだから、これだけの成果が出るはずだ」という思い込みです。いわゆる「べき思考」であり、本人にとっては当たり前のラインですが、客観的に見れば完璧主義に近い高いハードルです。物事がその期待通りに進まなかったとき、真面目な人ほど「もっとできたはずだ」と自分を責め、心を削ってしまいます。

2. 自分自身に対する期待
「自分はこれくらいできなければダメだ」という、自己への厳しいノルマです。例えば、周囲から見れば立派にこなしているお母さんが、「自分は母親として失格だ」と落ち込んでいることがあります。それは、自分に対する期待値があまりに高いため、できなかった一部分だけを切り取って自分を攻撃してしまうからです。

3. 他人に対する期待
言葉には出さないけれど、「恋人ならこうしてくれるはず」「親友なら分かってくれるはず」と無意識に相手を監視してしまう状態です。相手が期待通りに行動するかどうかを見守るには、膨大な心のエネルギーを消耗します。そして、期待が裏切られたとき(例えば誕生日を忘れられたときなど)、相手を攻撃するのではなく、「大切にされない私には価値がないんだ」と、矛先を自分に向けて傷ついてしまうのです。