◆愚痴は「お酒」と同じで依存する…職場で嫌われないための「たった一つのルール」
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が教える】「愚痴らない人」ほど心がヘドロまみれ? 爽やかな人が裏でやる「毒出し法」Photo: Adobe Stock

心の毒は、知らぬ間に溜まっていく

今日は「心の毒」についてお話ししましょう。私は普段、「愚痴は依存性があるから、あまり言わない方がいい」とお伝えしているのですが、今日はあえて反対のことを言います。「心の毒は定期的に吐き出しましょう」というお話です。

心の毒というのは、無意識のうちにどんどん溜まっていくものです。自分の中では処理したつもりでいても、きちんと外に出さないと蓄積してしまいます。これは年末の大掃除に似ています。普段は見ない冷蔵庫の裏や排水溝など、久しぶりに開けてみると驚くほど汚れていたりしますよね。掃除を始めると「うわっ」となる、あのような感覚です。

心の毒も同じで、毎日の生活では「なんとなく疲れたな」「モヤモヤするな」程度にしか感じていないかもしれません。しかし、それがボディブローのようにじわじわと効いてきて、気づかないうちに大きなダメージになっています。

最初は「ちょっと苦手だな」と思っていただけの相手に対し、我慢して付き合い続けた結果、気づけば修復不可能なほど嫌いになってしまう……なんてことも起こり得ます。ですから、心の毒は定期的に吐き出す必要があるのです。

愚痴は「お酒」と同じ? 依存性に注意

では、どうやって吐き出せばいいのでしょうか? ここで「あえて愚痴を言う方法」をご提案します。ただし、無制限に愚痴を言うのは危険です。なぜなら、愚痴には「依存性」があるからです。これはお酒と非常によく似ています。

たまに嗜む程度なら良いのですが、昼間から飲んだり、道端で泥酔したりするのは問題ですよね。愚痴も同じで、TPO(時・所・場合)をわきまえずにあちこちで言う癖がつくと、周囲から「面倒な人」と思われてしまいます。

初対面の人や、相手の状況もお構いなしにネガティブな話を延々としてしまうのは、いわば「愚痴依存」の末期症状です。こうなると自分でも制御できなくなってしまいます。

正しいガス抜きの作法:TPOと相手を限定する

心の毒を溜めないためには、制限を設けた上で愚痴を言うことが大切です。ポイントは「愚痴を言ってもいい相手を決めておく」ことです。

私の場合、愚痴を言う相手はパートナーや、付き合いの長い後輩など、1~2人に決めています。お互いの関係性がしっかりできていて、「今は愚痴っているんだな」と理解してくれる相手です。そういう人に対して、例えば「これから愚痴を言うよ!」と宣言してから、少しずつ吐き出すのがコツです。

世の中には、パッと見て爽やかで清廉潔白に見える人がいますよね。心から完全に悩みがない人なんていません。爽やかに見える人は、実は裏できちんとTPOをわきまえて愚痴をこぼし、心の毒を適切に処理している人なのです。

ですから、皆さんも「カッコつけずに弱音を吐ける相手」を一人でも確保することをおすすめします。

相手がいない場合や、言葉以外での発散方法

「そんな相手、どこで見つければいいの?」と思われるかもしれません。昔からの親友と久しぶりにお茶をして、近況報告のついでに「ちょっとだけ愚痴ってもいい?」と聞いてみるのも一つの手です。ただし、全部を愚痴にするのではなく、楽しい話をしつつ少しだけ挟むのがマナーです。

また、最近では生成AI(チャットボットなど)に愚痴を聞いてもらうのも有効です。ただし、相手が生成AIだと無限に聞いてくれるため、これも依存しすぎないよう自分の中で時間を決めるなどの制限が必要です。

もちろん、言葉にする以外にも方法はあります。私は一人カラオケが大好きなんですが、誰にも気を使わず、好きな歌を枯れるまで歌うのも最高の発散になります。ジョギングなどで汗を流すのも良いでしょう。

信頼できる相手に時間を決めて愚痴る

心の毒は、洗濯機の排水溝に溜まるヘドロのようなものです。放置すると詰まってしまいますから、毎日少しずつでも、定期的に掃除(発散)をしなければなりません。

買い物依存やアルコールの飲み過ぎなど、依存性の高いもので発散するのは避けた方が良いですが、信頼できる相手に時間を決めて愚痴ることは、心の健康維持にとても役立ちます。ぜひ、上手に心の毒を吐き出して、健やかにお過ごしください。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。