これが何を意味するか。「感じはいいけれど仕事ができない人」は、入社後の教育によって「感じがよくて仕事もできる人」に育つ可能性がありますが、「性格が悪い人」の性格を矯正することは極めて困難だということです。

「感じのいい人」には大きな伸びしろがある一方で、一見優秀に見える「性格の悪い人材」が組織にもたらす悪影響は計り知れません。このことからも、「性格は悪いけれど仕事ができる人」の採用は避けるべきだと私は考えています。

 ここで、「仕事ができる」ことの定義を見直す必要があります。

 履歴書上の学歴が高い、TOEICの点数が高い、資格をたくさん持っているといった「ハイスペック」な人材が、必ずしも現場で活躍できるわけではありません。

 実際の業務において不可欠なのは、チームワークを築いたり、周囲と信頼関係を構築したりといった「ヒューマンスキル」です。私は、性格が悪いというのは、単なる個性の問題ではなく、組織で働くうえでの一種の「能力不足」と捉えるべきだと考えています。周囲と協力関係を築けない、他者への配慮がないというのは、組織で働く際の能力が欠如していると言えるからです。性格もまた、重要な能力の一つなのです。

 特に警戒すべきなのは、履歴書上のスペックは優秀に見えても、他者への配慮がなく、自己中心的な「コミュニティクラッシャー」タイプです。こうした人材を雇うことは、組織崩壊のリスクを招くことになります。

「性格が悪い」と一口に言っても、攻撃的であったり、非協力的であったりと様々ですが、こうした社員が一人でもいると、周囲のエンゲージメント――仕事への熱意、愛着、没頭する気持ち――を著しく低下させます。その結果、他の優秀な社員がやる気を失い、最悪の場合は大量離職を招く恐れさえあります。

 心理学には「クロスオーバー効果」という言葉がありますが、これは感情やストレスが他者に伝染することを指します。やる気のない人や、攻撃的なコミュニケーションを取る人が職場にいると、その悪い雰囲気が周囲に伝染してしまうのです。