人が目先の快適さに流されるのは自然なことだ。かといって、それが自分にとって本当によいことかというと別問題だ。全米でNYタイムズベストセラー、WSJベストセラー、USAトゥデイベストセラーと異例の評判となり、世界20か国以上で続々刊行されている『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』からヒントを紹介しよう。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

賢者は苦難を求め、愚者は快楽を求める。Photo: Adobe Stock

「楽な道」ばかり行く人は動物のようなもの

 世の中には「飲むだけで痩せる」「寝ているだけで健康になる」といった甘い言葉が溢れている。私たちは本能的に楽な道を求め、不快な努力を避けようとする生き物だ。しかし、その「楽な道」の先に待っているのは、本当に私たちが望む未来だろうか。

 本能のままに快を選び続けるだけなら、ある意味、野生動物と同じである。だが人間は、目先の快楽よりも長期的な価値を選び取れる理性を持つ存在である。

 本書の著者ガブリエル・ライオン氏は、努力を伴わずに健康を手に入れられるという幻想を打ち砕き、真の健康への道を示してくれる。

 医師で老年医学・栄養科学の専門家である著者は、多くの病気の根本原因は「筋肉の不足」にあると説き、薬や手術に頼る前に、自らの筋肉を鍛えることこそが最強の医療であると断言する。

努力は究極のライフハックである

 本書の中で、ライオン氏は次のように述べている。

 どこかに「楽な方法」があるなどというのは、自分を甘やかす幻想にすぎない。
 楽な道を選んだら人生は困難になる
 反対に、困難な道を選べば人生は楽になるのだ。
 努力は究極のライフハックである。――『筋肉が全て』より

 この言葉は、単なる筋トレの推奨にとどまらない人生哲学だ。重いウェイトを持ち上げ、高タンパク質の食事を管理することは、いまの自分にとっては「困難」かもしれない。

 しかし、その困難を能動的に選ぶことで、将来の病気や寝たきりのリスクを回避し、最後まで活力に満ちた「楽な人生」を手に入れることができるのだ。筋肉への投資は、複利で効いてくる最強の資産形成である

筋トレは複利で効いてくる

 しかし、頭ではわかっていても、目の前の快楽や怠惰な時間の誘惑に勝つのは難しい。著者はこれを「現在バイアス」と呼び、克服するための具体的なメンタルテクニックを紹介している。

 それは、成功した姿を夢見ることではない。

 目標を達成するための方法として「自分が望むものを視覚化して、それを手に入れたときの満足感を想像する」という方法がよく知られている。
 だがもっと効果的なのは「現在の悪い習慣を続けていたらどんなマイナスの影響が生じるか」をイメージすることだ。
 これには信じられないほど効き目がある。好ましくない行動を続けていると何を失うことになるかが明確になることで、無理なくネガティブな選択を避けようとする気持ちになれるのだ。
 いまの悪癖を続けていたら将来どうなるかを想像してみよう。
 2年後にはどんな結果が待っているだろう? 4年後はどうだろう? 20年後ならどうだろう?――同書より

 もしいまの生活を続けたら、10年後、20年後の自分はどうなっているか。

 鏡の中の自分は? 自分の足で歩けているか? そのリアルな想像こそが、人を動かす原動力となる。

 賢者は、未来のためにいまの困難を喜んで受け入れる。愚者は、いまの快楽のために未来を犠牲にする。

 あなたはどちらの道を選ぶだろうか。

(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)

ガブリエル・ライオン(Dr. Gabrielle Lyon)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。