2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

なんか隠してない? と思ってしまう違和感

 以前、とある中小企業を見学させてもらったとき、ものすごい違和感をおぼえたことがある。
 表現するのが難しいのだが、「違和感を消している」という違和感。

 真面目そうな社員がはきはきと事業の説明をし、きれいに整えられた職場を見せる。
 商談をするスペースは細かく区切られ、外部の音は一切聞こえないようになっている。

 社外の人に、職場のごちゃごちゃは見せないようにしているといえばそれまでだが、それにしても、絵に描いたような職場。みんな真面目にデスクに向かっている。

 なんか……
 隠してない?

 そういう違和感だった。

 のちにこの会社は事業に失敗し、上層部が入れ替わって組織を再編することになったようだ。実はちょっとグレーなことにも手を出していた。

 詳しいことはわからないけれど、当時の社員さんたちはどう感じていたのだろうかと、ときどき思い出してしまう。

違和感がまったくないのはあやしい

 私が知っているふつうの職場は、髪を振り乱して書類の山に向かっている人がいれば、誰かに電話しながら声が大きくなっちゃっている人がいたり、給湯室でおしゃべりしている人がいたり……とそれぞれの人がそれぞれのことをしている。

「今日はこの人、疲れていそうだな」とか「今日はやけにイライラしているようだけど、何かあったのかな」とか、ちょっとした「違和感」があちこちにあるものだ。

「違和感がまったくない」というのは、逆に変なのである。

 組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏も、『組織の違和感』(ダイヤモンド社)の中で「まったく違和感がない」というのもあやしいものだと指摘している。

裸の王様に「変だ」と言えるか

 勅使川原氏は、決裁権を持つ役員に対し、いいことを言って自分たちのサービスを使わせようとするコンサルの例を挙げながら、こう述べる。

相手の立場につけ込み、裸の王様にしてやろうと思う人はごまんといます。でも、それに甘んじていれば、組織は良くなることはありません。

 ――『組織の違和感』p.258より

 自分に都合のいい話は信じてしまう、ということはよくあるのだろう。
 裸の王様になっている上層部に対し、「間違っている」と思っても、意見を言うことがご法度とされている組織文化であれば、言うことができない。

 当初は違和感を持っていた社員も、見ないようにしたり、積極的に隠すようになったりしてしまう。

 そうして、不正を行う会社も出てくる。

 自動車大手、ダイハツ工業が34年にわたって試験結果の虚偽記載や試験データの改ざんなどの不正を行っていた事件で、第三者委員会は組織風土の問題を指摘している。

「自分で考えろ」と、問題が起きても現場で抱え込んでしまう状況があったのです。
また、不正が報道された中古車会社のように嘘をついてでも(靴下にゴルフボールを入れて車両をぶっ叩いてでも)顧客からふんだくることを「望ましい」とされれば、それをやるのが、悲しいかな人間です。

 ――『組織の違和感』p.258より

 そうならないために、私たちはもっと「違和感」を大事にしなければならないのだ。
 違和感を素直に言葉にして、「じゃあ、どうしようか?」と職場の課題にしていく。

 本書には、違和感をヒントにして職場を良くする方法が書かれている。「違和感はまったくない」という人もぜひ読んでみてほしい。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。