ビジネスの世界では「話し方」一つで大成功を手にすることもあれば、大損失を被ることもあります。ただし、口がうまいからと言って仕事ができるわけではなく、むしろ口下手の方が結果を出すケースも少なくありません。ビジネスで求められる実践的「話し方」とは?この特集ではあなたの「話し方」を劇的にアップデートする書籍を厳選しました。今回は『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす「聞くだけ」会話術』から、「たった3秒のガマン」で会話が途切れても怖くない!沈黙を味方にする裏ワザをお届けします。(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)

あなたの「話し方」が変わる!#2Photo:PIXTA

先輩記者から教わった
沈黙は「敵」ではなく「味方」

 新人記者として新聞社の地方支局に配属され、特ダネを連発する先輩記者の取材に同行した際、驚いたのが「沈黙」に動じないことでした。こちらからはあまり話さず、相手から話し始めるのを待つのです。

 長い沈黙があっても先輩記者は意に介さず。沈黙が怖いから何か話したくなるのですが、私が言葉を発しそうになると、先輩記者は無言で首を横に振り制されました。すると、取材相手は徐々に本音を漏らし始めるのです。

「沈黙はチャンスだから怖がるな」と教わりました。この先輩記者は後に政治部に異動し、一面トップを数え切れないほど書く名物記者となりました。

 コミュニケーション心理トレーナーの松橋良紀氏は、自著『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす「聞くだけ」会話術』において、こう指摘しています。

「そこそこ話は上手いのに、コミュニケーションが下手な人は、相手の話が終わるやいなや、早合点して次の質問に移ったり、相手の話をきちんと受け止めることをしないまま、自分の話をし始める傾向が強いです」

 沈黙を「敵」ではなく「味方」だと思うことが重要だと松橋氏は説きます。

「相手が話し終えた後、ほんの少しだけ、自分が話したい気持ちや沈黙を恐れる気持ちを脇にやって『間』を置く。時間にするとたった3秒くらいで大丈夫。この3秒を待てるようになることが、聞き上手への大きなステップになります。すぐには話し出さずに、たったそれだけの『間』を取るだけでびっくりするほど相手の本音を引き出せる」というのです。

 ちなみに、相手が考え始めて沈黙したら、フランスでは「天使が舞い降りてきた」と表現するくらい、インスピレーションがさえわたっている貴重な瞬間だそうです。

「本音を言おうとしているのを邪魔せずにグッとこらえることができる人が、ホンモノの聞き上手と言えます」と松橋氏。

『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす「聞くだけ」会話術』の本文ではさらに、信頼関係をあっという間に築く手法や、無口な人さえ話しだす「姿勢」「重心」「目線」のコツなども大公開しています。

『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす「聞くだけ」会話術』の本文はこちら

書影『聞くだけ会話術』

はじめに/目次/第1章 「アゴ」を合わせれば相手はしゃべりだす!
第2章 「オウム返し」で相手の本音を引き出す!
第3章 「仕草をまねる」だけで共感は得られる!
第4章 「たった3秒のガマン」で、もう会話が途切れても怖くない!
第5章 わずかな変化も見逃さない! 聞くことも話すこともまずは相手を「観察」することから
第6章 「地図」の寓話と、「伝える」ことのほんとうの意味
第7章 最後の授業/あとがき──解説と、告白と

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