
昨今、若い頃の言葉をそのまま使っている中年が多い。だが、「マジで」「ヤバい」などを使い続けているようでは、とても「教養が身についている」とは言い難い。思ったことを言語化する語彙力や表現力を身につけるのも、大人の教養の範囲なのだ。※本稿は、池上彰『50歳から何を学ぶか 賢く生きる「教養の身につけ方」』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
教養がある人は
語彙力と言語化の力がある
率直に言えば、教養がある人は会話にも教養がにじみ出てくるものです。
特に分かりやすいのが言葉遣いです。
50代になっても若い頃のまま、「マジで」「っていうか」なんて言っていると、「年甲斐もない言葉遣いだな」と思われてしまいます。
「食べれない」「出れない」などの「ら抜き言葉」も、中高年に差し掛かってきた世代の人が人前で使うのは、情けない物言いになってしまいます。
若い人の間で流行っている言葉を、知ったかぶって使うのもやめたほうがいいでしょう。
「ヤバい」「エグい」という言葉は、今の若者は「すごく良い」という意味で使うようですが、いい大人が「いやあ、この間は、マジでエグかった」と言うと、聞いているこちらのほうが恥ずかしくなる、という経験はあなたもあるのではないでしょうか。
同時に、「これは際立って良いものである」ということを表現する語彙や表現力がない。つまり、教養がないことを相手に伝えているようなものでもあります。
これも最近、耳にする言葉ですが「普通においしい」というような表現も、大人が使う言葉としてはちょっと引っ掛かります。
何がどう良いのか、どの点が素敵なのか。なぜ他とは違うのか。対象をしっかり観察して、言語化できるような表現能力や語彙力をつける必要がある。これも教養の範囲と言えそうです。