たとえば声のトーン。急に声のボリュームを上げたり、ちょっと沈んだような声を出したりと、意識的に抑揚をつけるのです。大人数を前にするときには、身振り手振りのジェスチャーも大きめに。
さらには、教室の中をゆっくり歩き回りながら喋ります。教壇から離れて教室の左右を行ったり来たりし、座席の間を抜けて最後列まで行くこともあります。効果はてきめん、私が距離を縮めると学生は緊張して居住まいを正します。
同音異義語や難しい言葉を使わずに
相手ファーストを心がける
日本語は同音異義語だらけ。
たとえば、「Aさんがセイサクをシジしました」といわれたとして、政策を支持しているのか、制作を指示しているのか、あるいは別の組み合わせを意図しているのか、瞬時に判別できません。
この場合、「つくるように命じました」と言い換えるだけで、相手に誤解を与える余地はほとんどなくなるでしょう。
話すと同時に意味が伝われば、相手にあれこれ考えさせる手間が省けます。私がなるべく難しい熟語や表現を使わないようにしているのは、「相手ファースト」を意識してのことなのです。
まどろっこしい表現は
相手の聞く気を削いでしまう
『池上彰が話す前に考えていること』(池上 彰、新潮社)
テレビに出演するとき、口に出さないように心がけている言葉がいくつかあります。
その1つが「……したいと思います」。
現場で中継するレポーターが「……してみたいと思います」と話す場面を見かけるたび、「思っていないで、さっさとやればいいのに!」とつい口を挟みたくなる。まどろっこしく感じるのです。
「……してみたいと思います」も、「……させていただきます」と同様、話し手の自信のなさが婉曲表現につながっているのではないでしょうか。
「聞いてみたいと思います」ではなく、「聞いてみます」、「聞いてみましょう」。
こちらのほうが単刀直入ですっきりしませんか。







