組織のために出世させてはいけない
タイプの人材とは?
また、それまでの成果だけでは昇進は決まりません。もう一つ、重要なのが人望です。
西郷隆盛は「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」と述べています。昇進とは地位を与え、権限を与えることであり、その人の影響力を組織全体に広げる行為でもあります。「この人のように行動する人が増えてほしい」と思えるかどうかが、判断の分かれ目になります。
部下を犠牲にして成果を出すタイプ、上には従順だが下には威圧的なタイプ、手柄を自分に独り占めするタイプは、短期的に成果を出していても上に上げるべきではありません。その行動様式が組織に広がれば、優秀な人材ほど離れていきます。
私が銀行にいた頃、中間管理職で「ヒラメ」と呼ばれる人がいました。ヒラメのように目が上にしかついておらず、上司の顔色だけを見て動く人です。上からは扱いやすく見えますが、部下からの信頼は得られません。
このような人物を昇進させると現場の士気が下がります。昇進は能力の評価であると同時に、組織のあるべき姿の選択でもあるのです。
そして、もう一つ重要なのが将来性です。昇進は過去の表彰ではなく未来への投資です。成果が偶然の環境や優秀な部下によるものであれば、配置が変わると再現されません。
一方で、部下が働きやすい雰囲気を整え、長所を生かし、規律の中の自由を保てる人は、環境が変わっても成果を出しやすいといえます。任せた組織や人員のパフォーマンスが上がるのです。
昇進を判断する際は、その人の直属の部下の評価だけでなく、現場の状態まで見ておく必要があります。離職が多い、雰囲気が悪い、成果が不安定といった兆候は、マネジメントの問題を示していることが多いからです。
部下を持たせずに
昇進させるという選択も
昇進させることと、人のマネジメントを任せることは同じではありません。
例えば、会社に卓越した専門技術者がいる場合、地位や報酬を与えることは適切な評価であり、組織への良いメッセージにもなります。ただし、部下を持たせて組織運営まで任せるかどうかは別の判断です。
ここで述べた三つの判断基準に合っているかどうかを見極めるには、日常の仕事ぶりを見続けるしかありません。昇進とは、一人を評価する行為であると同時に、会社の将来の姿を選ぶ行為でもあるのです。







