北大路 地球全体が変わってきているわけですから、京都だけが暑いわけではない。環境が変わるなら、自分もそれに合わせて対策をし、順応していけばいい。
それに、昔は撮影所に冷暖房も扇風機もなかったんですよ。その中で傑作を撮り続けてきた先輩方の姿も見てきました。その情熱を思えば、今の環境で弱音なんて吐いていられません。
Photo by T.H.
60代での初挑戦
キャサリン・ヘプバーンに見た「勇気」
――経験に裏打ちされたタフさですね。北大路さんが、年齢を重ねてもなお「挑戦心」を失わないのはなぜですか。
北大路 素晴らしい先輩方の姿を見ているからでしょう。
私は以前、ニューヨークのブロードウェイで、大女優キャサリン・ヘプバーンの舞台『COCO(ココ)』を観たことがあります。彼女がココ・シャネルを演じたミュージカルなのですが、その時彼女はたしか62歳だったと思います。
それまで映画界のトップを走り続けてきた彼女が、その年齢で初めてミュージカルに挑戦したんです。歌って、踊って、お芝居をして。
幕が開くと、そこには年齢など微塵も感じさせない、圧倒的なエネルギーがあり、カーテンコールではスタンディングオベーションが鳴り止みませんでした。
「この年齢で、まだ新しい扉を開くのか」と、その姿に震えるほど感動しました。その勇気と気迫に、強烈な刺激を受けたのです。情熱さえあれば、人間はいくつになっても新しい自分に出会えるのだと、彼女が教えてくれました。
仕事がなくても鍛えるのが役者
父・市川右太衛門の背中
北大路 私にとっての「理想の年の重ね方」のモデルは、やはり父の市川右太衛門です。
父はよく言っていました。「忙しいときだけが役者じゃないぞ。仕事がなくても鍛えるのが役者なんだ」と。







