Photo by Takahiko Hara
会社という枠組みが外れた途端に人間関係が希薄になり、孤独を感じるビジネスパーソンは少なくない。利害関係のない「真の友人」は、どうすれば得られるのか。人気時代劇シリーズ「三屋清左衛門残日録」で、隠居した主人公・清左衛門を演じる北大路欣也。劇中では、町奉行の佐伯熊太(演・伊東四朗)との長年にわたる友情が描かれるが、北大路自身もまた、芸能生活70年の中で数えきれないほどの「縁」を紡いできた。80代を迎えた今もなお、多くの人が慕い、集まってくるその人間力の源泉とは――。(俳優 北大路欣也、取材・構成/小倉健一)
人生は「出会い」と「絆」
どれだけ出会いを大切にできるか
北大路欣也(以下、北大路) 人間の世界というのは、やはり「出会い」と「絆」だと思います。もちろん別れもありますが、その出会いをどれだけ大切にできるか。
人生には、「自分ばっかり」「俺が、俺が」と「我(が)」を主張するのではなく、相手を思いやる心、「利他愛」が不可欠だと思います。「三屋清左衛門残日録」の主人公・清左衛門と町奉行の佐伯熊太には深い信頼と尊敬があります。
佐伯熊太を演じる伊東四朗さんとは、もう45年近いお付き合いになります。最初にお会いしたのは、1981年の「男子の本懐」というドラマでした。私が浜口雄幸という総理大臣の役で、伊東さんは私の髪を刈ってくれる床屋さんの役でした。
その時、伊東さん演じる床屋さんが政治家として張り詰めていた役の私の心をほぐしてくれるシーンがあったんです。それが、演技を超えて本当に心地よかった。伊東さんの存在そのものに、「なんて素敵な雰囲気を持った方だろう」と感動しました。
それから「銭形平次」で10年間ご一緒させていただいて、今またこうして清左衛門と熊太として向かい合っている。ですから、特別に何か芝居をしようとしなくても、自然と伊東さんの懐に入っていけるのです。
今回の最新第9作「永遠(とわ)の絆」でも、二人で縁側に座って、ただお菓子を食べているシーンがあります。「いつでも自分のことを思い出して、頼ってくれ」という思いがそこにあるのですが、言葉にしなくても通じ合っている。
熊太に対して、私は今回「再発見」をしたような気がします。彼の持っている優しさ、大きさ、そして「利他愛」。それが伊東さんご本人と重なって、演じながら私自身の心も洗われるようでした。







