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最もリッチな住民たちに1回限りの富裕税を課すという米カリフォルニア州の計画は実現の可能性が低く、その制度設計に問題がある。しかし、億万長者が節税する場合に誰がそれを穴埋めするのか、そして富の集中が経済全体にどのような影響を及ぼしているのかを見れば、億万長者の税負担の問題がなぜ消え去らないのかが分かる。
リスクは、米経済が少数の極めて富裕な世帯層への依存を強めていることだ。超富裕層の支出は株式市場のパフォーマンスと関連性がある。これは、次に市場の調整局面が訪れる際に米経済全体が大きな代償を払うことを意味する可能性がある。
カリフォルニア州は全米で最も億万長者が集中している場所だ。資産情報会社アルトラタのデータによると、 全米の億万長者 の5分の1強に当たる255人が同州に住んでいる。
カリフォルニア州のメディケイド(低所得者向け医療保険)向けの連邦予算削減で、同州の医療制度は何十億ドルもの資金不足に陥る見通しだ。同州の医療従事者労組はこの不足分を補うため、純資産10億ドル(約1550億円)超の住民全員を対象に、緊急措置として1回限りで5%の富裕税を課すよう求めている。
この 提案 は、11月に住民投票に付されるのに十分な数の署名を集める必要があり、その後有権者の過半数の承認を得る必要がある。この提案の制度設計に関して、問題が既に明らかになりつつある。課税額は、ある企業で億万長者が持つ議決権と経済的持ち分のうち、高い方を基に算出される。超党派のシンクタンク、タックス・ファウンデーションは、この課税がハイテク企業の創業者に打撃を与えかねないとみている。これら創業者が保有する多議決権株は彼らの経済的持ち分の何倍にもなり、その結果、過大な税負担が生じる可能性がある。
富裕税の施行は難しいほか、超富裕層は、州の税政策の方向性が気に入らなければ単に州を離れるという選択が可能だ。グーグルの共同創業者セルゲイ・ブリン氏は最近、カリフォルニア州を離れた。 パランティア・テクノロジーズ の共同創業者であるピーター・ティール氏も、それに続く可能性があると述べている。カリフォルニア州の億万長者たちが同州を離れ、雇用も他州に持って行くことへの懸念は、有権者を富裕税導入に向けた取り組みに反対させるのに十分かもしれない。







