PHOTO: MICHAEL BUCHER/WSJ
人工知能(AI)新興企業のサーバルは昨年12月、ベンチャーキャピタル(VC)大手セコイア・キャピタルと非公開の資金調達契約を締結した際、企業価値は4億ドル(約620億円)未満と評価された。同社はその数日後に新たな資金調達ラウンドを行い、次のマイルストーンの達成を発表した。
新ラウンドでは評価額が10億ドルを突破し、「ユニコーン」企業(評価額10億ドル以上の未上場新興企業)としての地位を獲得した。
サーバルの企業価値が1週間足らずで6億ドルも急増したのは、ここ数カ月間でスタートアップやトップクラスのVCの間で広まっている資金調達戦略の一例だ。
スタートアップ企業は、ある時点で主要投資家に自社株を売却し、その直後あるいは同時期に、はるかに高い評価額で他の出資者に株式を売却する。
この結果、主要投資家は少なくとも帳簿上で巨額の利益を確保し、スタートアップ企業は大幅に高い企業価値を発表できる。
スタートアップ企業は長年にわたり、上場企業の評価で用いられる厳格な財務指標に根ざさない基準で高い評価を得てきた。ある意味では、企業の価値とは投資家が支払う意思のある金額そのものだろう。
しかし複数のVC投資家や外部の会計専門家は、連続的あるいは多層的な取引は今までにない方法であり、AI投資が熱狂的な中でスタートアップ企業の実際の価値に疑問を投げかけると指摘している。
ファンド・オブ・ファンズ(FoF)のアホイ・キャピタルの創業者クリス・ダボス氏はこうした手法について、「間違いなく評価額を膨らませる」と指摘。「創業者や投資家はスタートアップのバランスシートを武器に、莫大な評価額を背景に巨額の投資を行い、勝者を選り分けて資金を独占しようとする力を持っている」と述べた。
数万社のスタートアップを支援する金融ソフトウエア企業のカルタによると、こうした資金調達取引は昨年10-12月期に頻度が増し、過去6~12カ月間で20件ほど行われたという。スタートアップに関わる投資家や創業者、会計専門家は、さらに多くの取引が進行中だと指摘している。







