確かにこの国の大半の企業や省庁では、18時頃には、オフィスからは人影が消える。夜遅くまで残業をしている人は、ほとんどいない。

 いわんや土曜日や日曜日には、誰もオフィスでは働かない。2020年のコロナ禍以降テレワークを行う人が増えてからは、オフィスで見かける人の数はさらに減った。

 我々日本人は、「成果を生むには長時間働く必要がある」と考えがちだ。だから日本人は、ドイツ人の労働時間が短いのに、経済の歯車が回っていることを不思議に思うのだ。

 労働時間が短いドイツの2023年の名目GDPが、労働時間が長い日本を追い抜いたとなれば、違和感はさらに強まる。

 GDPの順位逆転のニュースを聞いて、「我々日本人の働き方には、どこかおかしい点があるのではないだろうか?」という疑問を持つのは、ごく当たり前のことだ。

ドイツの労働時間は
年を追うごとに短くなっている

 ドイツは世界最大の時短国家である。OECDの統計によると、2023年のドイツの労働者1人当たりの労働時間は1343時間だった。これはOECDに加盟している38カ国の中でいちばん短い。

 ドイツの労働時間は、日本の1611時間に比べて268時間(17%)も短い。日本は労働時間が短い順に数えて、第15位だ。

 1日の労働時間を10時間とすると、ドイツの労働時間は日本よりも約27日分短いことになる。

図表2-1 ドイツの労働時間は、OECDで最も短い同書より転載 拡大画像表示

 OECDの平均労働時間は1742時間だったので、ドイツの労働時間はOECDの平均よりも399時間短い。しかもドイツの労働時間はどんどん短くなっている。

図表2-2 1990年代以来、ドイツの労働時間は短くなる傾向にある同書より転載 拡大画像表示