34.7時間を5日で割ると、1日の平均労働時間は6.9時間になる。単純に計算すると、朝8時に仕事を始めれば、1時間の昼休みを挟んで、16時頃には退社することになる。
ただし経営者と労働組合が賃金協定で決める「所定労働時間」は業種によって異なる。たとえば金属・電子・機械メーカーなど製造業界では、1週間の所定労働時間は35時間だ。
厚生労働省の就労条件総合調査によると、2023年の日本企業の所定労働時間は平均39時間4分、1日当たりの所定労働時間は平均7時間47分だった。つまりドイツの製造業界の労働者の1週間の所定労働時間も、日本人より約4時間短い。
20年以上前から法を整備し
働きすぎの防止に尽力
なぜドイツの労働時間は、日本よりも大幅に短いのだろうか。理由は2つある。労働時間に関する、法律による規制・監督が日本よりもはるかに厳しいことと、効率性を重視しムダを嫌う国民性だ。
企業や省庁、商店などで働く市民の労働時間は、1994年に施行された「労働時間法(ArbZG)」によって制限されている。
この法律によると、平日つまり月曜日から土曜日のオフィスや商店などでの1日当たりの労働時間は、8時間を超えてはならない。1日当たりの最長労働時間は10時間まで延長することができるが、その場合にも6カ月間の1日当たりの平均労働時間は、8時間を超えてはならない。
つまりドイツの企業や役所、商店などでは、1日当たり10時間を超える労働は、原則として禁止されている。
例外が認められているのは管理職、病院の医長やパイロットなどごく一部の就業者だけである。
『GDPで日本を超えた!のんびり稼ぐドイツ人の幸せな働き方』(熊谷 徹、ぱる出版)
さらに、企業は社員に1日当たり最低30分の休憩時間を与えなくてはならないほか、1日9時間を超えて働く場合には、最低45分の休憩時間が必要になる。1日の労働と次の日の労働の間には、最低11時間の間隔を置かなくてはならない。
また労働時間法は、日曜日と祝日の労働を原則として禁止している(医師、看護師、救急隊員、消防隊員、ジャーナリストなどを除く)。
労働時間が厳しく制限されている理由は、働く者の健康を守るためだ。これをドイツ語でArbeitsschutz(労働の悪影響から人間を守ること)と呼ぶ。この背景には、「長時間労働は、身体や精神に悪い」という基本的な合意がある。
もちろん日本でも「働き過ぎは身体に悪い」と思われているが、ドイツではこの考えが日本以上に社会に浸透しており、働き過ぎを防ぐメカニズムが実践されている。







