採用バブルに沸き立つコンサルティング業界。30歳前後で年収は1000万円に到達するが、「アラサーコンサル社員」たちの過酷な働き方やパワハラへの悩みは尽きないようだ。特集『勝ち組に死角!コンサル大乱戦』(全12回)の最終回では、取材で出会ったアラサーコンサル社員4人が、「アクセンチュア事件」の余波に加え、残業“隠し”やパワハラの実態などを明らかにした。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
・村山氏:ビッグ4コンサル、同業大手からの中途入社、30代前半男性
・石井氏:日系大手コンサル、異業種からの中途入社、20代後半男性
・笠井氏:外資系戦略コンサル、新卒入社、30代前半女性
(全て仮名)
1日17時間の激務もあれば、「稼働0分」も
アクセンチュア事件で緊急招集の社内会議
30歳前後で年収が1000万円を超えるなど、とかくその高待遇ぶりに注目が集まるコンサルティング業界。DXブームも追い風に、空前の「バブル」に沸き立っている。しかし、アラサーコンサル社員たちが抱える悩みは大きいようだ。今回は、外資と日系、新卒組と中途組など、境遇や立場の異なる4人のアラサーコンサル社員たちに、コンサル業界の残業やパワーハラスメントの実態、「アクセンチュア事件」の余波などについて同じ質問をぶつけた。
4人が転職や引き抜きの事情について語った前編はこちら(本特集#8『コンサル社員が給与・転職・出世事情を赤裸々告白!紹介採用の「謝礼爆増」で引き抜きバブル』)。
【質問】
人気が高まるコンサル業界。一方で、激務のイメージもあります。日頃の働き方を教えてください。
村山(ビッグ4・30代前半男性・同業中途)
一番忙しいときはひどかったです。朝9時ごろからから休む暇もなく、翌朝4時まで業務に当たっていました。タクシーで家に帰ってシャワーを浴びて2~3時間仮眠を取り、再び出社するのです。精神的に何とか持ちこたえていましたが、“謎の頭痛”に日々襲われていました。逆に楽な時期は、内線の電話を取る日だけのこともあります。
阿部(日系・20代後半女性・新卒)
稼働時間0分の日もあれば、平日14時間労働に加えて土日も出勤しなければならないこともありました。もう少し、忙しさが平準化されないかな……(笑)。
笠井(外資系戦略・30代前半女性・新卒)
外資系コンサルはずっと激務のイメージもあるかもしれませんが、ぶっちゃけ「時期による」というのが正しい答えでしょうか。朝から17時間働いて、睡眠時間は4時間。ベッド横のパソコンの光で目を覚まして再び稼働が始まるというときもあります。特に海外とミーティングする場合、時差対応などがあるので夜中の0時にミーティングがスタートするということもあります。外資ではよくある話ではないでしょうか。
でも、暇な日は本当に暇です。朝一のミーティングにぼけーっと参加して、その後することがないので、2時間ネットフリックス鑑賞をすることもありますし(笑)。午後も何となく稼働して、19時くらいに「終わるか~」みたいなゆるゆるの日もあります。
【質問】
働き方といえば、アクセンチュアが違法残業の疑いで3月8日に東京地方検察庁に書類送検されました。皆さんが務める会社では、どんなことがありましたか。また、残業時間・残業代についても教えてください。
笠井(外資系戦略・30代前半女性・新卒)
うちでも、話題になりましたね。「アクセンチュア、コンプラどんまい」って感じです。もし、刺されたくないんだったら、(一定の条件を満たすと労働時間の制限がなくなる)高度プロフェッショナル制度を採用という手もありますよね。
阿部(日系・20代後半女性・新卒)
実は、アクセンチュア事件の数日後にうちでは緊急労務ミーティングなるものが開かれたよ(笑)。
次ページからは、アクセンチュア事件の余波に加え、残業“隠し”やパワハラなどコンサル業界の働き方の実態、「コピー取りで月数百万円」のクライアント事情についても明かしてもらった。