ドイツ人たちは今から34年前の1990年には、1573時間働いていた。2023年の労働時間は1990年に比べて230時間も減った。14.6%の減少である。

 さらに時代をさかのぼると、ドイツ人は1980年には1746時間働いていた。つまり2023年の労働時間は、1980年に比べて403時間(23%)短くなった。

 ドイツ経済研究所(DIW)も、2024年1月に公表した研究報告書の中で、「ドイツの企業や役所で働いている人の1週間の労働時間は、1991年から2021年までに減る傾向を示した」と指摘している。

コロナ禍のロックダウンが
労働時間減少に大きく寄与

 ドイツ人の労働時間は、コロナ禍が起きた2020年には1316時間となり、前年比で4.2%もしくは57時間短くなった。

 日本でも2020年にはコロナ禍のために、前年比で労働時間が短くなったが、その減少率は2.9%に留まった。

 ドイツの2020年の労働時間の減少率が日本よりも大きい理由は、ドイツ政府が日本政府よりも厳しいロックダウンを実施したためだ。ドイツでのコロナによる被害は、日本よりもはるかに深刻だった。

 2020年11月29日の時点でドイツの累積死者数は1万4159人。日本(1943人)の7.3倍だった。

 欧州で最初にコロナ患者が確認されたのは、イタリア。西欧諸国での初期のコロナ被害は、酸鼻を極めた。イタリア北部のベルガモではコロナによる死者が急激に増えたため火葬場での遺体の焼却が間に合わず、軍が多数のトラックに遺体を積んで他の地域に搬送したほどだ。

 当時ドイツ人たちは、イタリアと同じような惨事が自分たちの国でも起きるのではないかと戦々恐々としていた。

 このためドイツ政府はロックダウンを実施し、大部分の商店、全ての飲食店やホテル、劇場、映画館などの営業を法律で禁止した。多くの市民が職場で働けなくなった。ミュンヘンの商店街でも人影が絶えて、ゴーストタウンのようになった。工場などではリモート・ワークができないため、生産ラインの稼働時間が短縮され、生産額が減った。

 さらに学校や幼稚園も一時閉鎖されたために、多くの労働者が自宅で子どもの世話をしなくてはならなくなった。このため勤め人の中には、フルタイムからパートタイムに切り替えた人も多かった。

 これに対し日本では飲食店などの「営業自粛」は行われたものの、当時の安倍政権は、ドイツ政府が行ったような、法律で営業を禁止するロックダウンには踏み切らなかった。このため2020年のドイツの労働時間は、日本よりも大きく減ったのだ。