空港で仕事をする海外出張のビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本の労働生産性はずっと下位のまま。バリバリ働く我が身を振り返って「どうして?」と首を傾ける人も多いのでは?実は、仕事とは「手を抜けば抜くほど、生産性が上がる」ものなのだという。欧州の働き方から見える日本の問題点とは。※本稿は、海老原嗣生『静かな退職という働き方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

日本じゃ考えられない事態に遭遇
バス運転手の驚きの発言

 欧州に旅行した人から、「日本じゃあり得ない!」というような経験をした話を聞いたことはありませんか?

 私の友人のラジオDJが、かつてこんな話をしてくれました。

 大のサッカーファンの彼は、欧州のプロフットボール観戦三昧で、スペイン→フランス→ドイツと周遊旅行を企図したそうです。その途上、スペインとフランスの国境にある「アンドラ公国」という小国への観光を希望し、バルセロナからバスに乗りました。

 ただ、道は大渋滞でなかなかバスは進みません。国境近くまで来た時に、ドライバーは業を煮やしたのか、やおら高速道路を降り、一般道を走り始めました。そのDJは「日本みたいに経路を遵守しないで機転を利かせて道を変えるなんてなかなかヤルな」と初めは前向きに評価したそうです。

 ところが、バスは一転、近くの車庫に入り、そこで乗客は皆降ろされてしまいます。そして、「定時になったから、ここから先は、各自、タクシーなりヒッチハイクなりで行ってくれ。距離はあとわずかだ」と告げられたそうです。

 あまりのことに驚いていると、欧州の人たちは文句も言わずに三三五五散っていきます。