作家の宮部みゆき作家の宮部みゆき Photo:JIJI

宮部みゆきや半藤一利などの
著名な文化人を輩出

 都内東部、隅田川東岸の墨田区東向島にある。江戸時代から開けていた町だが、現在では「下町」と呼ばれているエリアだ。1921年設立の東京府立第七中学校が前身だ。

 物書きとしてよく知られた卒業生が、出ている。まずは、ミステリー、ファンタジー、時代小説など多くの作品を執筆し、流行作家となっている宮部みゆきだ。

 宮部は99年に『理由』で直木賞を受賞したのをはじめ、司馬遼太郎賞、菊池寛賞など10を超える文学賞を受賞している。

 生粋の下町っ子だ。江東区立深川第四中学を経て都立墨田川高校卒。法律事務所に勤務し、和文タイプライターのタイピストだった。87年にオール読物推理小説新人賞を受賞し、小説家デビューした。以降、旺盛な作家活動を続けている。代表作に『模倣犯』『ソロモンの偽証』など。

 昭和史に関する著作が多い半藤一利は、府立七中に2年間在籍していたが、空襲による疎開で旧制茨城県立下妻中学(現下妻第一高校)に移った。4カ月だけ在籍した後、新潟県立長岡中学3年次で終戦を迎えた。卒業後、旧制浦和高校を経て東京大文学部国文科卒。

 53年に文藝春秋新社に入社し、週刊文春編集長、文藝春秋編集長に就いた。名編集者として実績を挙げる一方、『昭和史』『日露戦争史』(全3巻)『ノモンハンの夏』など多くの著作を刊行した。新田次郎文学賞、山本七平賞、菊池寛賞などを受賞、2021年1月に90歳で死去した。

 ジャーナリスト・ノンフィクション作家の佐野眞一は、墨田川高校から早稲田大第一文学部に進学した。『旅する巨人』で97年に第28回大宅壮一ノンフィクション賞を、09年には『甘粕正彦 乱心の曠野』により講談社ノンフィクション賞を、受賞している。22年9月に75歳で死去した。

 宮部、半藤、佐野は、雑誌『月刊現代』の08年1月号で鼎談(ていだん)している。「インテリの最高学府ではないけど庶民の最高学府と言っていい」(半藤)、「ヘンな見栄や上昇志向がない」(佐野)、「人間関係も町場の子らしくさばさばしていました」(宮部)などと語っている。