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受験、就職、起業など、現代ではたった一度の失敗で立ち直れないほどの挫折感を味わうことがある。しかし本来、失敗とは成長につなげるための糧のはずだ。絶望の時代を生き抜くために必要な「失敗との向き合い方」を、哲学者2人の対話から考える。※本稿は、ボン大学教授のマルクス・ガブリエル、京都大学教授の出口康夫『これからの社会のために哲学ができること 新道徳実在論とWEターン』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。
「絶望しないスキル」は
失敗経験からしか得られない
――戦争や経済不安にさらされたこの現代社会では、絶望する理由が至るところにあります。そうした困難に直面したとき、絶望しないでいるには、ある種の訓練が必要ではないかと感じます。「絶望しないスキル」を身につけるためには、どのような具体的な方法があるでしょうか。
出口康夫(以下、出口):絶望に陥らないために、言い換えると「絶望人」にならないためには、レジリエンス(編集部注/困難、ストレス、危機的な状況に直面した際に、しなやかに適応し、回復する力)が重要だと考えます。ここで言うレジリエンスとは身体的・肉体的な側面と心的・精神的側面が密接に結びついたものです。
では、レジリエンスは、どうすれば強化できるのでしょうか。それは、失敗に直面し、立ち直る経験を積むことです。これこそが、レジリエンスを高める唯一の方法ではないでしょうか。子どもにも大人にも、リスクを取って新しいことに挑戦する機会が不可欠なのです。
失敗を恐れてはいけません。しかし現在は、さまざまな事情から、リスクを取る傾向が弱まっています。特に教育の現場では、失敗を過度に恐れる空気が広がっているように見えます。それは、レジリエンスを育む上で有害だと思います。







