ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者の森武司氏は、数々の逆境を「仲間力」で乗り越えてきた人物。今回インタビューした株式会社ヒロプロ代表取締役・廣池基史氏も、同じく「人間関係ファースト」を貫いてきた経営者だ。
プロジェクトが始まる「前」に必ずキックオフという名の懇親会を開く。周囲から「無駄だ」「意味ない」と否定されても、20年以上この方針を変えなかった。廣池氏が語る、打ち上げを「先」にやる逆張り仕事術とは――。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「そんな飲み会、無駄だよ」と言われ続けた若手時代
――廣池さんは、プロジェクトが始まる「前」に必ず懇親会を開くそうですね。普通は終わってからの打ち上げだと思うんですが。
廣池基史(以下、廣池):そうですね。もうかれこれ20年以上このやり方を変えていませんね(笑)。プロジェクトが始まる前に、必ずキックオフや懇親会をやる。まずは人間的なところでつながってから、仕事を始めることが私の仕事の進め方です。
本来は終わってからの打ち上げが多いと思いますが、私は逆の発想です(笑)。まずはプライベートの会話もできる場をつくって、人との距離を縮め、信頼関係を構築してから、プロジェクトに入っていきます。
――でも、周りからは「非効率」「無駄」「意味ない」って言われませんでしたか?
廣池:はい。言われ続けました(笑)。特に大手代理店にいた頃は、「まだ売上もあげていない、結果も残せていないのに、その飲み会なんてやる必要ない」「非効率なのでやるな」と。上司や先輩たちに、散々否定されましたね。
でも、そこには信念があり、私はずっとその言葉の逆の行動をしてきました。まずは仲間をつくって、信頼を得てから仕事をする。何かあったときに助け合える関係性を作る。それでうまくプロジェクトが進むことが多く、今でもこの考えは変わっていませんね。
人間関係ゼロで仕事を始めた結果、起きたこと
――なぜ、そこまで「始まる前」にこだわるんですか?
廣池:人間関係がない中で仕事をすると、必ずトラブルが起きるのです。「言った・言わない」「聞いてない」「できない」、無理なお願いや緊急の相談も受けてくれない。当たり前のようですが、そんな時に最初の懇親会で人間関係をつくっておくと、トラブルが起きても「一緒に何とかしよう」「乗り越えよう」と、自分事として立ち上がってくれる。結局、仕事がうまく進んでいる理由は1つで「人として何でも話せる仲になっているか」が重要です。
プライベートの会話が、仕事の質を変える
――懇親会では、具体的にどんな話をするんですか?
廣池:仕事の話は、ほとんどしません(笑)。その人の趣味やこれまでの人生、ご家族やパートナーのことなど。そういうプライベートの会話から、人間性や個性が見えてきます。結果、その人の性格を理解しておくだけでも、何かあった際に、お互い無理なお願いも相談しやすくなり、仕事の「質」を上げることができます。
――でも、今の時代って効率重視じゃないですか。懇親会は「非効率」って見られがちですよね。
廣池:確かに一見非効率に見えるかもしれません。でも、長期的に見たら絶対に効率的です。人間関係がない状態でプロジェクトを始めると、後から必ずトラブルが起きて、そのときに関係性をつくろうとしても、もう遅いのです。最初の懇親会は、言い換えると「仕事を効率的に進めていくための親睦を深める会」とも言えます(笑)。
「ドライ」だけど「真摯」――絶妙なバランス
――一方で、廣池さんは「ドライ」とも言われるそうですね。
廣池:そうなんですよね(笑)。私は良い意味で、個人に干渉しないというか。その人の人生に興味がないというか、気にしないというか。
だから「よくドライですね」と言われるのですが、ちゃんと自分が仲間にした人たちに対しては、しっかりと真摯に向き合っています(笑)。
自分から人を嫌うこともないのですが、自分のことを嫌いになる人や、興味のない人には、無の境地になってしまうので(笑)。それが「ドライ」と思われているのかもしれませんね。「ドライ」だけど、「真摯」に向き合うこともしますので、人に対してはその絶妙なバランスが重要ですね。
相手のことを考え過ぎたり、忖度したりすると、何か新しいことにチャレンジする際、自分でハードルを上げてしまい、アクションが遅れます。
その結果、良くない方向にいくことがあるので、「相手のことを気にし過ぎない考え」の方が、自分のやりたいことをプラスに変え、新しいことへの挑戦を加速させる原動力になっていると思います。
まずは仲間を作ろう「人間関係ファースト」
――最後に、プロジェクトマネジメントや信頼関係構築に悩んでいる読者に向けて、メッセージをお願いします。
廣池:繰り返しになってしまいますが、プロジェクトが始まってから関係性をつくろうとしても、もう遅いのです。始まる前に、人としてつながる。「まだ売上もないのに」「効率が悪い」「無駄」「意味ない」と言われても、気にしなくて良いです。最初に仲間をつくっておく「人間関係ファースト」が、結果的にプロジェクトの成功につながるのです。
『スタートアップ芸人』の森さんも、お笑い芸人時代から「仲間力」で道を切り拓いてきた方です。お笑いで挫折して、ニートになって、そこから這い上がって年商146億円の会社をつくるまで。その過程で森さんが大切にしてきたのも、まさにこの「人間関係ファースト」の考え方なのです。
効率を求めすぎて人間関係を疎かにしたら、結局非効率になる。今、チームづくりやプロジェクトマネジメントで悩んでいる人には、すごく参考になると思います。
(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)










