ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者の森武司氏は「仲間力」を武器に事業を拡大してきた人物だが、今回インタビューした株式会社ヒロプロ代表取締役・廣池基史氏もまた、独自の「仲間づくり」の哲学を持つ経営者だ。
廣池氏の採用基準は、一般的な企業の常識を覆すものばかり。エージェント不使用、履歴書不問、社長自ら現場で人を見極める。そして驚くべきは、「会食の候補日を30個出してくる人」を採用するというエピソードだ。一体どういうことなのか――。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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履歴書も面接もいらない!
社長が“現場で人を見る”理由
――廣池さんの会社では、どんな基準で人を採用しているんですか?
廣池基史(以下、廣池):まず、採用活動そのものが一般的な会社とは違うかと思います。
エージェントも使わない、求人も出さない、リファラル(紹介)もほとんど使わない。私が必ず自分で、その人を開拓するのです。
イベント現場だったり、撮影現場だったり、フットサルだったり、親睦会だったり。そこで直感的に良い人財と感じたら、直接声をかける。通常の採用は、エントリーシートがあり、1次面接は課長、2次面接は部長、最後に社長が出てくる流れが多いかと思います。私はそのやり方だけでは、本当に素晴らしい人財が採れるとは思ってないのです。
――なるほど。社長自ら“スカウト”するスタイルなんですね。
廣池:そうですね。仕事と同じで、自分の足で見つけることが特徴的です。
もう一つ特殊な採用方法は、仕事があってから人を雇うのではなくて、仕事がある前に、人を引き入れることを意識してます。「この子たちを仲間にしたい」と思ったら、まずチームに入れて、それから仕事を取りに行く。この人財を養うために、生活するために仕事をつくっていく。
本来は「仕事が増えて来たから人を募集しよう」と焦って募集をかけるかと思いますが、それだけでは良い人財は見つからないため、私は逆な発想です。
今8人ほど従業員がいますが、仕事がない中でも、直感的に良いポテンシャルと感じたら、仲間として受け入れて、そこから仕事を広げていくことを意識してます。まさに会社理念の「つながる。広がる。プロがいる。」です。
――その「仲間にしたい」と思う基準は何ですか?
廣池:他の人より「尖ってる」「優秀」ということよりも、「人と違う才能」「人を魅了する魅力」がある人。何か気になる存在、気にさせる存在ですね。
仮に、その人たちが、今の環境で報われてないと感じたら、「もっと良い環境で才能を発揮できるのに」と話を聞いてみる。
あとは、顔の表情ですね。人間力は、表情に出ますね。優しさとか誠実さ。驕り高ぶらない謙虚な人。完全な勘というより、表情やリアクション、初手の行動を見て判断してます。25年社会で養われてきた直感力もあり、だいたい会って話してみたら数秒でわかります。
採用の決め手は、スキルより「最初の一手」
――そこから実際に採用に至るまでのプロセスで、印象的なエピソードはありますか?
廣池:面白いエピソードが「候補日の出し方」です。
私が「ごはんでも行きながら、カジュアルに話そうよ」と声をかけたとき、普通は3つくらいしか候補日を出さない人がほとんどです。ですが、今採用してる従業員たちの半数くらいが、10個や20個の候補日を出してくるのが印象的でした。
1日の中でも時間を分けて、「17時でも19時でも大丈夫です」
――30個! それはすごいですね。
廣池:もう1ヵ月先までのスケジュールを全部出して来て「絶対にこの中のどこかは空いてるだろう」という逃がさない勢いがあり、それを見たときに「あ、本当に話を聞きたいんだな~」と伝わるんですよね。
候補日だけで熱意や誠実さが伝わってしまう。候補日を30個出せる人って、要は“相手の都合を先に考えられる人”なんです。自分のスケジュールではなく、相手起点で動ける。仕事は、結局そこができるかどうかなので。
逆に、フィーリングが合わない人は「タイミングが合えば」「機会があれば」のような返事で終わってしまう人が多いですね。こちらから連絡しなければ、もうそれっきりだったりもするので縁がなかったと感じてしまいます。初手のアクションって、実はすごく重要なんです。
どれだけ優秀でも、一緒にやらない人の共通点
――逆に、能力が高くても「この人は組織に入れない」と判断する基準はありますか?
廣池:ネガティブな発言が多い人ですね。会社の悪口とか、人のことばかり気にしてる人。「あの先輩が怒るから」「クライアントがこう言うから」とか、人や環境の責任にして、周りの目を気にして動けない人ですね。
まず、どこを起点にビジネスを考えていくかが大切だと思っております。
自分がどういう面白い企画やアイデアをやりたいか、お客さんのためにどういうことを成し遂げたいか、自らの考えで行動していくことが重要だと思っています。
「自分で新しいことや楽しいことに挑戦してみたい」という熱量を持ってる人が、ヒロプロには集まってきますね。学歴も職歴も関係ない。熱意と人間性を重視してます。
――最後に、採用やチームづくりに悩んでいる経営者やマネジャーに向けて、メッセージをお願いします。
廣池:履歴書や面接だけで人を見ようとしても、本当の人間力はわからないので、現場に行って、自分の目で見る。初手のアクションで熱意を感じ取る。そういう泥臭いやり方のほうが、結果的に強いチームができます。強い組織や仲間づくりをしていくには「力で信頼を得る」のではなく、「信頼から力を生み出していく」ことだと思っています。
『スタートアップ芸人』でも、森さんが「仲間力」をどう磨き、どう活かしてきたかが描かれてるので。採用やチームづくりに悩んでる人は、読んでみるといいと思いますよ。
(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)










