五十嵐「でも、60歳から5年間、先に受け取れますよね?」
カタリーナ「5年間で456万円になるけれど、その代わり減額は終身続き、年間28万8000円少なくなる。つまり、81歳前後が単純な損益分岐点になるわね」
五十嵐「81歳を超えると、繰り上げない方が総額は多くなるってことですか」
カタリーナ「税や社会保険料の影響を考えない単純比較では、目安になるわ」
五十嵐「やっぱり3%くらいで運用できれば問題ないと思うんですよ」
カタリーナ「単純計算では、年率3%前後という数字は出てくるわ。ただし、それは一定利回りで運用できた場合の理論上の目安。公的年金は終身で支給される長生きリスクへの備えだから、投資収益と同じ物差しで判断するのは慎重であるべきね。想定通りにいかなかった場合でも、生活設計が維持できるかを基準に考えることが大切よ」
五十嵐「なるほど」
カタリーナ「公的年金は終身で支給される仕組みで、物価や賃金の動向を踏まえて毎年見直しが行われるわ。少なくとも制度上は、長生きに備える安定的な給付として設計されているものなの」
五十嵐「投資とは性質が違うってことですか」
カタリーナ「単純な利回り比較だけでは測れないわ。あなたのやり方に口を挟むつもりはないけれど、投資である以上、預貯金や債券の金利みたいに毎年の運用率が確約されているわけじゃない。それに、資産を取り崩すフェーズでのリスクだってあるし」
五十嵐「そんなことは、言われなくてもわかっています」
カタリーナ「年金を受給しなくても生活できるお金が十分にあって増やせる自信があるなら、60歳で繰上げ受給した年金を投資に回すやり方を否定するつもりはないわ。健康不安がある人や、年金を保険として使わない設計だという人も、合理性があるかもしれない。ただ、繰上げ受給するなら、減額以外にも知っておいてほしいことがあるの」
五十嵐「なんですか?」
カタリーナ「繰上げ受給の場合、国民年金と厚生年金を同時に申請することになる。請求後は取り消せないわ。あと、繰上げ後に初診日がある場合、万が一障害状態になっても障害年金は請求できないわ」
五十嵐「そればかりは、どうなるか分からないことですから」
カタリーナ「それに繰上げ受給をすると、もし国民年金保険料に未納期間があったとしても、国民年金に任意加入はできなくなる。あなたの場合は、会社で働き続けるということだから、気にする必要はないけれど」
※生年月日・性別により、65歳より前に特別支給の老齢厚生年金の対象となる場合がある。なお、特別支給も在職老齢年金の支給停止調整の対象となる。







