2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

人はみな違う色のメガネをかけている

 これまで約2万人の働く人たちと接してきましたが、その経験から私は「ちゃんとやっていない人」が問題なのではなく、その職場の「当たり前」「ちゃんと」「普通」が言語化されていないことが問題だと確信しています。

 人によって当たり前は違います。それはいわばみな違う色のメガネをかけているようなもの。

 それなのに、いけしゃあしゃあと「当たり前」「ちゃんと」「普通」などというあいまいな言葉で他人に評価目線を注ぐのでは、状況は好転しません。

 これらの言葉をどれほど解きほぐし、いろんなメガネをかけたメンバーにわかるように伝えたのか? これこそを振り返るべきです。

正解をください、の限界

 それがなかなかできないのは、単に、違いを認めることに私たちが慣れていないからでしょう。

 私たちは、「正解」のある問題を解いて解いて解きまくって大人になりました。そのため、なんでもその延長で考えて、世の中にも多様な人同士にも「正解」があると思いすぎているのではないでしょうか。

 コミュニケーションという意思疎通、すなわち双方向性のある問題をも、どちらかが「正しく」て、他方は「間違っている」前提で、問題解決ではなく、競り合いをつづけてしまう。

 だから、組織づくりに関するノウハウが世にあふれ、さんざん称揚される今でも、職場の原始的なトラブルやすれ違いはなくならないのだと思います。

選択肢は二者択一ではない

 違和感を持ったときにどうするか。「放置する」のか「反発する」のか、その2つしか選択肢がないように思えるかもしれません。

 ですが実は、その間のオプションもあるということをぜひ知っておいていただきたいのです。

「あれっ、おかしいな」と思ったとき、「誰が正しいのか?」と考えるのではなく、「それぞれの人が何を『正しい』と思って行動しているのだろう?」と現状を認識し直すこと。
 これが職場改善の一丁目一番地です(昭和ビジネス用語で恐縮です)。

 ちなみにこのことを社会学では「他者の合理性」と呼ぶことがあります。

 人それぞれの「正しさ」に基づいて、みな「ちゃんと」「しっかり」やっている。

「ちゃんとやってよ」「しっかりしろ!」ではいかに的を射ないかがわかります。