「天下一品」は基本的な味づくりはセントラルキッチンでしているが、お客さんに提供する最後の大事な工程については店舗で調理する決まりになっている。

 よく「天下一品」は店舗ごとに味が違うという話も出てくるが、それはじつはお店のさじ加減の違いに過ぎない。

 たとえばスープは寸胴鍋で煮詰めることで当然濃くなる。このようなちょっとしたことで濃さは変わるもので、気温や天候でも変わるデリケートなものだ。最低限のマニュアルはあるが、あとは各店の仕上げで味が決まっていく。

「〇〇店はスープに骨を足している」などという噂もちらほら出ているが、そういう事実はない。かつての決まりの緩い時代にはそういうこともあったかもしれないが、いまはあり得ない。

 かつては総本店ではお店でスープを炊いていた。しかしいまはオールセントラルなのでどこで食べても変わらない。味がブレないことを目標にしても、最終的に人が調理するものだから、少しは変わるもの。

 それでも、最後に手をかけるほうがおいしくなるので、お店で食べるものならば手をかけようと、そこは許容範囲の個性になっている。

 人気の「こってり唐揚げ」はいまもお店で手仕込みしている。仕込みが大変で手間がかかるが、「からあげグランプリ」でも金賞を受賞するほどの高評価だ。

画像・こってり唐揚げ定食同書より転載 拡大画像表示

 フランチャイズのオーナーからはセントラルキッチンで仕込めないかと問い合わせがあったが、いまも店舗での手仕込みを続けている。それだけ手間をかければおいしくなって評価されるものだからだ。