「天下一品」に似ているお店が
なぜ出てこないのか?

「天下一品」がこれほどまでに人気なのに、他に似たようなラーメン店が出てこないのは長年私の疑問だった。

 ラーメン業界は何かが流行ればすぐに似たようなお店が出てきて、ブーム化していくものだ。しかし、「天下一品」に限ってはその動きがまったくみられなかった。

 創業のころは別として、現在は製造の規模が大きいので、これを他店で真似しようにもなかなか難しい。使う材料の量や仕込む時間などスケールが違う。これを1つのお店の一商品でつくれといっても難しいのだ。

 ユーチューバーが「天下一品」のラーメンをつくってみようという企画をよくやってレシピを紹介しているが、「天下一品」側は意に介さない。似たようなところまではうまくいっているかもしれないが、製造規模の時点で再現は不可能だとわかっているからだ。

 もっと言えば、万一同じようなものがつくれたとしても、売り物にはならない。材料を入れすぎて、1杯数千円もらわなければ採算が合わないことになってくるだろう。

 逆に、まったく同じ味は真似できないという絶対的な自信があるから、監修商品は積極的に広げていっても問題ないと判断している。

 キンレイの冷凍ラーメンや、ローソンで発売したチルド麺、サッポロ一番のカップ麺など、どれももちろんおいしいが、「天下一品」そのものではもちろんない。特にキンレイの冷凍ラーメンは驚くほどクオリティが高く、これはお店側も焦ったのでは?と予想したが、まったくそんなことはなかった。

「こってり」は、パンチがあって一回食べたら忘れられず、そして一度インプットされたら記憶に残り続けるので、あちこちに「天下一品」の監修商品でロゴを散りばめておくことで、お店の集客につながるという戦略なのだ。

 これは「天下一品」の強みである唯一無二の味だからこそできる戦略だ。

「こってりラーメン」はラーメンではなく
「天下一品」という食べ物

 ファンからは「天下一品」はそれ自体がジャンルであると言われる。